グラミシジン

化学辞典 第2版 「グラミシジン」の解説

グラミシジン
グラミシジン
gramicidin

種々の枯草菌Bacillus brevis培養液から得られるポリペプチド抗生物質混合物で,鎖状構造をもつグラミシジンと,環状構造をもつチロシジンとに分けられる.グラミシジンにはA,B,Cが知られており,D-体とL-体のアミノ酸が交互に15個ペプチド結合している.1位のアミノ酸がバリンのものとイソロイシンのものとがあるが,たとえばVal-グラミシジンAはC99H140N20O17(1882.32).融点はA混合物228 ℃,B混合物259 ℃.これらはイオノホア抗生物質として,細胞膜のイオン透過に作用し,グラム陽性菌に有効で,主として局所用に用いられる.[CAS 1405-97-6][CAS 11029-61-1:A][CAS 9062-60-6:B][CAS 9062-61-7:C]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「グラミシジン」の意味・わかりやすい解説

グラミシジン
gramicidin

細菌 Bacillus brevisから得られる抗生物質。この細菌から R. J.デュボスは,初期の抗生物質としてチロトリシンを得た (1939) が,それは2成分の混合物で,その一方がグラミシジン,他方はチロシジンであった。グラミシジンの名は,グラム陽性菌を殺すことから名づけられた。D型アミノ酸も含む鎖状ポリペプチドで,これ自身もA,B,Cなど数種の混合物である。次いでソ連の G. F.ガウゼらは,同じ細菌から別の環状ポリペプチドを得て,グラミシジンS命名両者ともに,ヒトあるいは家畜の皮膚感染などに適用されることがある。

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栄養・生化学辞典 「グラミシジン」の解説

グラミシジン

 [Bacillus brevis]が作る抗生物質.

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世界大百科事典(旧版)内のグラミシジンの言及

【抗生物質】より

…これにより,微生物が生産する物質のなかには強力な抗菌作用をもつものが存在し,その物質が治療薬になりうるという指導原理が生まれたのである。39年R.J.デュボスは,バチルス菌Bacillus brevisの培養液からグラム陽性細菌の増殖を阻止する物質を結晶として分離し,チロトリシン(のちにグラミシジンとチロシジンの2物質に分けられた)と名づけた。39年からの20年間は抗生物質の黄金時代であり,つぎつぎと新物質が発見された。…

※「グラミシジン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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