アメリカ北西部,ワシントン州東部のコロンビア川にある多目的ダム。この地域では干ばつが続き,開拓者たちは土地を離れざるをえなかった。このため,灌漑についての調査が1904年から行われ,32年には洪水調節,灌漑,発電用の大ダム建設を含むコロンビア川総合開発計画が定められて34年グランド・クーリー・ダムの建設が始まった。コロンビア川はアメリカ最大の包蔵水力をもち,計画ではその92%を利用することにし,このダムはその27%を開発する重要なもので,当時は世界最大の発電規模であった。またその電気を利用したグランド・クーリー・ポンプ場では70m揚水し,40万haの灌漑を行うこととした。ダムの形式は重力ダムで42年に完成,高さ168m,堤頂長1272m,堤体積800万m3である。洪水量が多いので工事をこれから守る大がかりな締切りダムを造ったり,世界最大のコンクリート混合プラントを設けたりして,アメリカの大ダム建設の先駆けとなった。貯水池は総貯水量118億m3,長さは240kmでカナダ国境に達しており,ローズベルト湖と呼ばれ,クーリー・ダム国定レクリエーション地域に指定されている。228万kWの発電をしていたが,1967-71年,渇水期にダム右岸を撤去して大改造し,948万kWに増強した。
執筆者:柴田 功
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アメリカ合衆国、ワシントン州のコロンビア川にある重力式コンクリートダム。コロンビア平原の灌漑(かんがい)を主目的に計画され、1942年に完成した。高さ168メートル、総貯水量118億立方メートル、毎秒45立方メートルのポンプ6台で貯水を人工のバンクス湖に揚水し、20万ヘクタール(将来ポンプ12台で40万ヘクタール)を灌漑する。そのほか総出力238万キロワットの発電、洪水調節、舟航、レクリエーションなど多目的に利用される。その後1964年に調印されたアメリカ・カナダ両国の協力によるコロンビア川開発に関する条約に基づき、上流に貯水池群が建設されることとなり、総出力390万キロワットの第三発電所の増設が66年に着工、74年より発電が開始された。さらに第二次増設工事が着工され、最終的には1040万キロワットの発電が可能となる。グランド・クーリー・ダムは、ブラジル、パラグアイ両国が共同で開発したパラナ川のイタイプ発電所(1991年完成、1260万キロワット)に次ぐ規模となる。
[石﨑正和]
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