改訂新版 世界大百科事典 「コナジラミ」の意味・わかりやすい解説
コナジラミ
半翅目コナジラミ科Aleyrodidaeの昆虫の総称。幼虫,成虫ともに植物の汁を吸い,平たい幼虫は葉裏で固着生活をする。成虫は小型で,どの種も1mm内外。体や翅は蠟質の粉で覆われているのでこの名がある。この粉は腹節の両側から羽化後に分泌され,脚を使って体や翅に塗りつけられる。翅は灰色であったり,斑紋がある種類もあるが,たいていは白くて斑紋がない。翅脈も退化している。交尾器の形態も単純である。日本から60種あまり,世界では約1100種が知られる。日本産の種類では,年3回発生のものが多く,5,7,9月ころ成虫が羽化し,幼虫かさなぎで冬を越す。最近,日本に侵入してハウス栽培のトマトやキュウリなどを加害するオンシツコナジラミ,各種病気のウイルスを媒介するタバココナジラミ,かんきつ類を害するミカンコナジラミ,アオキコナジラミなど,多くの重要な園芸害虫がいる。コナジラミの害は,高密度の吸汁による場合もあるが,おびただしく排出される甘露に発生するすす病の害のほうが多い。
執筆者:宮武 頼夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報