キジラミ(読み)きじらみ(英語表記)jumping plant lice

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キジラミ」の意味・わかりやすい解説

キジラミ
Psylloidea; jumping plant louse; lerp insect

半翅目同翅亜目キジラミ上科に属する昆虫の総称外形セミによく似るがはるかに小型で,体長 2mm内外のものが多い。口吻は頭部下面後方から突出する。触角は普通 10節から成り,先端に2本の毛があることが多い。頭部は幅広く,複眼が突出する。単眼は3個。前翅は多少とも革質化し,透明または色彩,斑紋をもつ。翅脈は単純であるが,分類の特徴になる。後翅は細く,小さい。肢の 跗節は2節。後肢腿節が太く発達し,跳躍肢になっている。幼虫成虫とも樹木に寄生し,口吻で樹液を吸収するので害虫として有名なものがあり (クワキジラミ,ナシキジラミなど) ,また虫 癭をつくる種もある。幼虫は5齢を経て成虫になり,成虫で越冬する。世界に約 2000種,日本産は約 130種。なおオーストラリアでは約 80種が lerp insectとして知られ,アブラムシに代ってユーカリ,アカシアその他の植物に寄生して多量の蜜を分泌するので,先住民がそれを採取して食用にしている。 (→同翅類 , 半翅類 )

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「キジラミ」の意味・わかりやすい解説

キジラミ
きじらみ / 木虱
jumping plant lice

昆虫綱半翅(はんし)目同翅亜目キジラミ科Psyllidaeに属する昆虫の総称。体長1~4ミリメートル(翅端まで2~6ミリメートル)の微小昆虫で、アブラムシ、カイガラムシコナジラミ近縁である。世界で約2000種、日本には150種以上が分布する。

 成虫は小さなセミのような形で、翅脈は少なく、独特な曲がり方である。成虫は植物体上にすみ、自由生活をする。幼虫の生活は種類によってさまざまで、自由生活をするもの、虫こぶ(虫(ちゅう)えい)をつくってその中で成長するもの、さらに貝のような殻で体を覆い隠すものなどがある。種によって寄生する植物もほぼ決まっていて、ナシにはナシキジラミ、ヤツデの葉にはヤツデキジラミがすみ、いずれも自由生活をする。トガリキジラミ類は虫こぶをつくり、クストガリキジラミはクスノキの葉に黒紫色の虫こぶをつくり、幼虫は葉裏から汁を吸う。また、ウコギトガリキジラミはヤマウコギの葉柄に紡錘形の虫こぶをつくり、その中に数匹の幼虫がすんでいる。エノキカイガラキジラミは、エノキの葉に虫こぶをつくり、さらに幼虫は体を二枚貝のような殻で完全に覆う。

[林 正美]

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