コーディネーショントレーニング(読み)こーでぃねーしょんとれーにんぐ(英語表記)coordination training

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

コーディネーショントレーニング
こーでぃねーしょんとれーにんぐ
coordination training

運動能力を高める訓練の一つ。感覚の働きと体の動作を効率よく調和させ、状況にすばやく反応し、もっとも適切に体を動かすための訓練である。略称COT。コーディネーションcoordinationとは、「筋肉運動の協同」や「機能の調整」などを意味する英語である。
 コーディネーショントレーニングでは必要な能力を七つのコーディネーション能力に分け、これらの個々の能力を鍛える。七つのコーディネーション能力は以下のとおりである。(1)定位能力 味方や相手との位置関係、ボールやゴールとの距離感など、自分の位置を時間的、空間的な感覚から測る能力。(2)変換能力 突然の状況変化に対し、新しい条件に応じてすばやく動作を切り替える能力。(3)識別能力 視覚の働きと手足の動きを同調させ、動作のタイミングや力の入れ具合を正確に行う能力。(4)反応能力 競技開始などの合図をすばやく察知し、正確な反応と動作を行う能力。(5)連結能力 コンビネーション能力ともいわれる。上肢や下肢、体幹などの各部の力加減やスピード調節をしながら、体全体をむだなくスムーズに動かす能力。(6)リズム能力 視覚や聴覚などで得た情報(リズム、タイミング)を自身でまねるために使う能力。大切な動作の習熟や、決定的瞬間をつかむために不可欠な能力である。(7)バランス能力 空中や移動中の体のバランスを保ち、崩れたらすばやく立て直す能力。
 コーディネーショントレーニングでは、これらのコーディネーション能力それぞれに働きかけるトレーニングを行って、体力と運動能力の向上を図る。たとえば、立った状態で、右手で左足に、左手で右足に交互に触れる動作をすばやく繰り返し、同じ動作を体の後方でも続けて行い、これをできるだけすばやくできるようにするクロスタッチというトレーニングでは、上記七つの能力のうち、(2)変換能力、(5)連結能力、(6)リズム能力、(7)バランス能力を訓練する。このようなトレーニング数種類を組み合わせ、1種1~2分ごとに切り替えながら、続けて運動するのが一般的な訓練方法である。
 運動能力は、ソ連(現、ロシア)の神経生理学者であるニコライ・ベルンシュテインNikolai Bernstein(1896―1966)によって20世紀なかばに提唱された概念である。これが東ドイツ(現、ドイツ)でコーディネーション能力として七つに分類され、コーディネーショントレーニングが完成した。日本でもトレーニング方法の研究が進み、その方法や効果が広く立証されている。[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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