イギリスの小説家。オックスフォード大学卒業後,1934年から40年まで小劇団の座付き作者兼俳優。その後海軍軍人として第2次大戦に参加,除隊後は高校教師(1945-54)をつとめた。54年,核戦争下に孤島に漂着した少年たちが原始的な悪に染まってゆく姿を描いた寓話《蠅の王》を発表,18,19世紀のイギリスの漂流孤島文学(特に少年もの)をパロディ化したこの作品は,その反楽天的な人間と透明な文体で一躍文壇の注目を浴びた。この後も原始人の世界を描いた《継承者たち》(1955),第2次大戦中溺死した男の,生死ももうはっきりしない状態での我執を描いた《ピンチャー・マーティン》(1956),一見普通のイギリスの若者の成長と挫折を描いた《自由な堕落》(1960),《ピラミッド》(1967),独力で教会の尖塔建設に没頭する中世の聖職者の物語《尖塔》(1964)などがある。〈自然状態〉では決して善とはいえぬ人間が,いかにして〈人間として〉生きてゆくかという倫理的・実存的な関心が全作品を貫いている。1983年ノーベル文学賞受賞。
執筆者:鈴木 建三
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イギリスの小説家。コーンウォール生まれ。オックスフォード大学卒業後、劇場に関係していたが、1939年以後はイングランド南部の中学校の教師を勤め、第二次世界大戦中は海軍で活躍。戦後ふたたび教職に戻ってから書いた小説『蠅(はえ)の王』(1954)で一躍有名になった。「怒れる若者たち(アングリー・ヤングメン)」と同時にデビューしながら、この処女作や、ネアンデルタール人対ホモ・サピエンスという主題の第二作『後継者たち』(1955)に発揮された彼の神話的想像力は独自のものだった。『ピンチャー・マーティン』(1956)、『自由な転落』(1959)、『尖塔(せんとう)』(1964)、『ピラミッド』(1967)から『通過儀礼』(1980)に至るまで、透徹した方法性とイギリス的倫理性を結合しつつ、重厚な小説世界を実現している。1983年ノーベル文学賞受賞。
[高橋康也]
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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