サイリスター

デジタル大辞泉 「サイリスター」の意味・読み・例文・類語

サイリスター(thyristor)

PNP接合に電極をつけてスイッチ動作を行わせる半導体素子制御装置などに利用

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百科事典マイペディア 「サイリスター」の意味・わかりやすい解説

サイリスター

電流の導通または阻止を制御することができる半導体整流素子総称サイラトロンに似た働きをするという意から命名されたもの。代表的なものであるシリコン制御整流素子SCR)は,p-n-p-n構造をもった,逆素子3端子サイリスターで,p形あるいはn形半導体の層にゲート電極があり,ゲート電流により主電流を制御することでスイッチング動作が行われる。阻止電圧2500ボルト,平均電流500アンペア程度の大電力用のものも作られている。整流器インバーターコンバーター等に用いられるほか,各種のスイッチ素子として,蛍光灯などの調光装置,扇風機等の電動機(回転速度)制御,自動制御,周波数変換(50Hzを60Hzになど),計算機等に広く利用される。また,ゲートから逆に電流を引き出すことによって,オン・オフの制御ができるターンオフサイリスター(GTOサイリスター),光によってターンオンできる光サイリスターも開発され,大電力装置に使用されている。
→関連項目SCRシリコン制御整流素子電気ブレーキ変換機

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化学辞典 第2版 「サイリスター」の解説

サイリスター
サイリスター
thyristor

シリコン制御整流器(silicon controlled rectifier,SCR)ともよばれ,pnpnの4層構造をもつ半導体素子である.アノードカソード,ゲートの3端子をもち,ゲートへのパルス信号によってアノード-カソード間の電流を制御する.サイリスターはパルスによってその通電状態を制御する大電流容量ダイオードと考えられる.いったん通電すると,アノードを逆方向にバイアスしないかぎりスイッチを切れない欠点はあるが,電球の調光,恒温槽電気炉の温度調整,モーターの回転数制御など用途は広い.サージ電流(流しうる電流の最大値)は数 A~104 A 以上の広い範囲にわたる.また,サイリスターの電流は一方向であるが,双方向性の素子(トライアック)もある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典 第2版 「サイリスター」の意味・わかりやすい解説

サイリスター【thyristor】

半導体デバイスの一種。外部回路から見ると,スイッチと等価のような二つの安定状態をもち,オフ状態からオン状態へ,あるいはまたその逆の切替えを行える。三つ以上のp‐n接合をもち,そのスイッチング作用により電力の流れを制御する目的におもに使用される。すなわち,電力変換装置や半導体のスイッチとしての応用である。その容量は家電製品で用いられる数百V,数A級のものから,電力システム用の数千V,数千A級まで広範囲にわたっている。

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