サイラトロン(その他表記)thyratron

精選版 日本国語大辞典 「サイラトロン」の意味・読み・例文・類語

サイラトロン

  1. ( Thyratron ) 水銀蒸気やアルゴン、キセノンなどの気体を封入した熱陰極放電管に、放電開始時期を制御するグリッドを入れた一種の三極管の商標名。一度放電を開始すると、プレート電圧を除去しない限り、放電電流を切ることができないこと、かなり大きなプレート電流が得られることが三極真空管特性の異なる点である。電動機の速度制御や電力用の継電器の制御などに用いられる。

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百科事典マイペディア 「サイラトロン」の意味・わかりやすい解説

サイラトロン

制御格子をもつ熱陰極放電管で,格子電圧を制御して放電を始動させるもの。水銀入りサイラトロンは整流器用,キセノン,アルゴンなど希ガス入りは制御装置用,水素入りはレーダー等のパルス発生用に使われる。一度導通すると陽極電圧をよほど落とさないと遮断(しゃだん)できないが,その作用が明確なためスイッチに利用される。
→関連項目インバーターサイリスター放電管

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サイラトロン」の意味・わかりやすい解説

サイラトロン
thyratron

熱陰極格子制御放電管。陽極,熱陰極,制御格子を入れた管内に,水素,ネオン,アルゴン,水銀蒸気などのガスを封入した電子管。制御格子に負の電圧を加えておくと,陽極電圧が正の場合でも電流は流れないが,格子電圧を正にすると管内にアーク放電が生じ,大きな陽極電流が流れる。陽極電圧が負の場合は電流が流れないので,整流作用がある。小さな入力によって大きな電力を敏速に制御できるので,一種の継電器として使われる。また交流電源を使って格子電圧と陽極電圧の位相差を適当にとれば,平均電流を制御できる。パルス発振器にも使われる。主として整流・制御用に用いられてきたが,大電力の水素入りサイラトロンを除き,半導体素子で置き換えられつつある。

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