サワークラウトともいう。キャベツの薄塩漬け。ドイツをはじめ南フランス、ハンガリー、北スイス、旧ソ連地域に至るまで、ザウアークラウトが食べられているが、とくにドイツ人はこれをよく食べる。ソーセージや豚肉料理の付け合せとして、またザウアークラウトと豚肉の塩漬け、薫製肉などを煮込み、ジャガイモを添えた料理をよくつくる。日本では普通、酢漬けキャベツとよんでいるが、実際には薄塩漬けであり、発酵してあの酸味が出るのである。
[エリーゼ・ケテル]
キャベツを薄塩で漬け乳酸発酵させた保存食品。伝統的なドイツの庶民の味に数えられ,詩人ウーラントは,〈ドイツ人の作り出したドイツの料理〉とたたえたが,乳酸発酵させる製法は歴史的には中世に中央アジアから伝わった,とするのが現代の定説である。ともあれ冬場のビタミンC補給源として貴重なものであったことにかわりなく,19世紀に版を重ねた主婦用手引書《家庭の幸福》などにも,ブドウ酒の古樽の利用,秋にキャベツを千切り風に切り塩をまぶしふたをして重しをのせる段取り,西洋ネズの実やコショウの実などで風味を加えるくふうなどが書かれている。漬物として食べるよりいったん火を通すのがふつうで,家庭では,湯がいてから冷やし,サラダにしたり,バターやラードを加えて煮,エンドウなどととりあわせて肉料理に添える。このほか白ブドウ酒で煮たエルザス(アルザス)料理のシュークルート,バイエルン国王の食膳に供された高級料理など,調理法はさまざまである。なお隠語に太い足をキャベツ踏みというのは,昔は漬ける際に足で踏んでキャベツの汁をしみ出させたからであるらしい。この汁を捨てて水を加えると味ががた落ちする,と記している書もある。
執筆者:新井 皓士
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…味をととのえたひき肉を包んでトマトピュレなどで煮込むロールキャベツのほか,シチュー,いため物,漬物に用いることも多い。有名なドイツの漬物ザウアークラウトは,細切りのキャベツを5%以下の塩で漬け込んだもので,サラダ,スープ,肉料理のつけ合せその他さまざまな料理に用いられる。【菅原 竜幸】
[民俗,伝説]
イギリスではキャベツ畑に赤ん坊がいるとされ,子宝はキャベツから授かると長らく信じられてきた。…
…【森田 重広】
[料理]
スモークドソーセージが最も一般的なもので,ビールのつまみ,オードブル,サラダ,ホットドッグなどに使う。ザウアークラウトやベーコンとともに煮込んでもよく,薄切りにしてオムレツにするのもよい。フレッシュソーセージもほぼ同じ使い方をするが,必ず火を通して食べる。…
…保存漬は貯蔵を目的とする漬物本来のもので,とくに長く貯蔵されたものは古漬,ひね漬とも呼ぶ。外国の漬物では朝鮮のキムチ,中国のザーサイ,インドのチャツネ,欧米のピクルス,ザウアークラウトなどが知られている。
【日本の漬物】
記録上は天平年間(729‐749)の木簡に見えるウリ,アオナなどの塩漬が古く,以後平安期まで塩漬のほかに醬(ひしお)漬,未醬漬,糟(かす)漬,酢漬,酢糟漬,甘漬,葅(にらぎ),須須保利(すずほり),荏裹(えづつみ)などの種類が見られる。…
※「ザウアークラウト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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