シローネ(英語表記)Ignazio Silone

精選版 日本国語大辞典 「シローネ」の意味・読み・例文・類語

シローネ

(Ignazio Silone イグナツィオ━) イタリア小説家政治家イタリア共産党創設参加反ファシズム運動指導代表作フォンタマーラ」は農民文学の指標として、ネオ‐リアリズモ運動の先駆となった。ほかに「パン葡萄酒」など。(一九〇〇‐七八

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デジタル大辞泉 「シローネ」の意味・読み・例文・類語

シローネ(Ignazio Silone)

[1900~1978]イタリアの小説家。本名セコンド=トランクィッリ。イタリア共産党の創設に参加。反ファシズム立場を貫いてスイス亡命し、地方農民窮状を告発する作品を発表した。作「フォンタマーラ」「パンと葡萄酒」など。

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改訂新版 世界大百科事典 「シローネ」の意味・わかりやすい解説

シローネ
Ignazio Silone
生没年:1900-78

イタリアの作家,政治家。アブルッツィ州の農村に生まれ,1915年の大地震で両親と5人の兄弟を失った。17歳でアブルッツィ地方農業労働組合の書記長就任。21年イタリア共産党創立と同時に入党。いくつかの国際会議に党代表として出席した。ファシストの政権掌握後は反ファシズムの地下活動に入るが,スターリン主義に強い疑問をもつようになって29年に離党。30-44年スイスに逃れ,作家活動を開始した。作品は,小説《フォンタマーラ》(1930),《パンとブドウ酒》(1937),《一握の桑の実》(1956)など,彼の故郷の貧しい農村を舞台としたものが多い。とくに処女作《フォンタマーラ》は,横暴な支配層と純朴な農民の抗争を簡潔で力強い文体で描いた秀作である。創作活動のかたわら,50年には統一社会党の書記長に就任,一時は国際ペンクラブの会長も務めた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シローネ」の意味・わかりやすい解説

シローネ
しろーね
Ignazio Silone
(1900―1978)

イタリアの小説家。本名セコンド・トランクィッリ。イタリア中部の農村に生まれる。1915年、故郷を襲った地震によって、両親と7人兄弟の5人までを失い、学業を中断する。その後、活発な政治活動を開始し、21年にはイタリア共産党創設に加わり、機関紙『アバングァルディア』などの主筆を務める。ファシズム台頭後も地下活動を続けるが、スターリニズムを批判して脱党。このころから作家活動を始め、30年にスイスへ亡命すると、故郷アブルッツィ地方の農民がファシズム体制下で過酷な搾取と弾圧にさらされ、ついに抵抗に立ち上がる姿を描いた『フォンタマーラ』を発表。ついで、『パンとぶどう酒』(1937)、『雪の下の種子』(1944)を刊行。本国よりもむしろ国外で有名になる。第二次世界大戦後、帰国すると、社会党機関紙の主筆を務める一方で、『ルーカの秘密』(1956)、『ある哀れなキリスト教徒の運命』(1968)などの作品を発表。ほかに政治論集なども多い。

[川名公平]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シローネ」の意味・わかりやすい解説

シローネ
Silone, Ignazio

[生]1900.5.1. アクイラ,ペシーナディマルシ
[没]1978.8.22. ジュネーブ
イタリアの小説家。本名 Secondo Tranquilli。 1921年イタリア共産党創設と同時に入党,反ファシズム運動に参加した。第2次世界大戦中は国外に亡命,農民を主人公とする抵抗文学を発表。 45年以降は社会党員に転じて,政治運動に従事しつつ,作品を発表し,国際ペンクラブ会長もつとめた。主著『フォンタマーラ』 Fontamara (1930) ,『パンとぶどう酒』 Pane e vino (37) ,『ルーカの秘密』 Il segreto di Luca (56) ,『哀れなキリスト者の冒険』L'avventura di un povero cristiano (68) 。

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百科事典マイペディア 「シローネ」の意味・わかりやすい解説

シローネ

イタリアの作家。本名セコンド・トランクィッリ(Secondo Tranquilli)。初め農民運動,共産党創設に参加したが,スイスに亡命中に脱党。《フォンタマーラ》《雪の下の種子》などの小説で故郷アブルッツィのしいたげられた農民たちの生活を描き,国外での評判を得た。帰国後の活動は《ルーカの秘密》などの創作のほか,評論も多い。

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世界大百科事典(旧版)内のシローネの言及

【ネオレアリズモ】より

…一方,最初に述べたように,反ファシズム闘争の題材を中心に考えた場合には,モラビアやベルナーリと並んでアルバーロやレーアDomenico Rea(1921‐ )が,あるいはモランテP.レービが,あるいはまたバッサーニ,ランドルフィ,パゾリーニらの名前もネオレアリズモの列に加えられることになろう。 第2次大戦後の日本における現代イタリア文学の翻訳・紹介は,戦前・戦中におけるデレッダやピランデロ(両者とも1926年と1934年にノーベル文学賞を受賞)の場合と様変りして,モラビア,ベルト,C.レービ,シローネ,あるいは反ファシズム闘争の記録類が,ネオレアリズモの漠然とした標語のもとになされた。しかし,パベーゼの作品の大半とビットリーニの作品の大部分が未紹介である現状では,ネオレアリズモの実体はほとんど理解されていないといっても過言ではない。…

※「シローネ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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