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ジャームッシュ Jim Jarmusch

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大辞林 第三版の解説

ジャームッシュ【Jim Jarmusch】

1953~ ) アメリカの映画監督。「ストレンジャー-ザン-パラダイス」で脚光を浴びる。ほかに「ダウン-バイ-ロー」「ミステリー-トレイン」など。

出典|三省堂
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百科事典マイペディアの解説

ジャームッシュ

米国の映画監督オハイオ州生れ。文学を学んだのち映画に転じN.レイに師事。大学在学中に製作した長編《パーマネントバケーション》(1980年)で注目される。第2作《ストレンジャー・ザン・パラダイス》(1984年)がカンヌ映画祭カメラ・ドール賞を受賞し,世界的ヒットとなる。
→関連項目ミッチャム

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト
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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ジャームッシュ
じゃーむっしゅ
Jim Jarmusch
(1953― )

アメリカの映画監督。オハイオ州アクロン生まれ。チェコ系の父親は地元の主要産業であるタイヤ・メーカーに勤め、アイルランド系の母親は結婚前に地元紙に映画評を執筆していたこともあった。母方の祖母と過ごすことの多い内気な少年だったが、10代になってロック音楽に傾倒。作家志望だったために、高校卒業後、いったんシカゴのノース・ウェスタン大学でジャーナリズムを専攻するが、1年でニューヨークコロンビア大学に転学、英・仏文学を専攻する。このころニューヨークで盛り上がりをみせ始めていたパンク・ムーブメントから多大な影響を受け、自らもロックバンド、ザ・デル・ビザンティンストを結成、ボーカルキーボードを担当していた。
 大学の最終学年にあたる1974年から翌年にかけてフランスに9か月間滞在。その際にシネマテーク・フランセーズなどで映画史上の傑作群と遭遇して映画に目ざめ、1975年、コロンビア大学卒業後にニューヨーク大学大学院映画学科に入学、映画を本格的に学ぶ一方、1977年には、当時同校で講師を務めていた映画監督のニコラス・レイNicholas Ray(1911―1979)の教務補佐となり親交を深める。1980年には卒業製作として長編『パーマネント・バケーション』を完成させ、ドイツのマンハイム映画祭でジョセフ・フォン・スタンバーグ賞に輝く。この作品を評価したビム・ベンダース監督が自作『ことの次第』(1981)のストック・フィルムをジャームッシュに提供、これを使って後に『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(1984)の第1部となる「新世界」がまずつくられ、1983年のロッテルダム映画祭で国際映画批評家賞を受賞。さらに追加撮影された第2部「パラダイス」と合わせて90分の長編『ストレンジャー・ザン・パラダイス』が完成、カンヌ国際映画祭の最優秀新人賞(カメラ・ドール)を獲得した。ニューヨークで暮らすハンガリー移民の青年ウィリーのもとに祖国から不意に従妹が訪れ、ウィリーとその友人にちょっとした波紋を巻き起こす前半と、男性2人女性1人がそろってクリーブランドの叔母の家まで車で旅する行程を描く後半部からなるこの作品は、モノクロ画面とロング・ショットを基調に起伏のない物語を淡々と伝える独特のテンポとユーモアで特徴づけられ、その後の映画監督たちに大きな影響を及ぼした。もはや移民にとって「アメリカン・ドリーム」が文字通りの夢と化したアメリカの「現在」を、それでも肯定的に描くこの映画では、前作にあった文学臭が一掃され、物語の「プロット」(題材や展開)よりも「構造」(語り方や形式)を重視する映画的なアプローチを、シンプルに、しかし鮮明にアピールすることに成功しており、ジャームッシュのみならず映画史における1980年代を代表する作品となった。
 ニュー・オーリンズを舞台にイタリア移民を含む3人のしがない脱獄犯のいがみ合いと交流を描く第三作『ダウン・バイ・ロー』(1986)では、監獄の内側と外側にほぼ同等の光景を置いてアメリカを支配する閉塞(へいそく)感をやはり笑いを交えて肯定的に描いた。それ以降、日本人俳優永瀬正敏(まさとし)(1966― )と工藤夕貴(ゆうき)(1971― )が重要なキャラクターを演じた『ミステリー・トレイン』(1989)で三つの異なる物語を同時進行させ、さらに続く『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991)では、ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキと五つの異なる都市で同じ夜に展開されるタクシードライバーをめぐる物語をオムニバス形式で描き、物語の「構造」の探求を進める。
 そんなジャームッシュの探求の到達点として、『デッドマン』(1995)をあげることができる。ここでは、物語の冒頭近くでいきなりライフルで胸に致命傷を受ける主人公の男性が緩やかに死へ向かう幻想的な旅の過程が描かれ、ネイティブ・アメリカンの神話世界と主人公ウィリアム・ブレイクと同名のイギリスのロマン派詩人に潜む神秘主義的傾向が重ねあわされるなど、これまでのジャームッシュの経歴の集大成ともいうべき内容になっていた。それ以降の彼の作品としては、音楽を担当して『デッドマン』の成功に大いに貢献した、著名なロック・ミュージシャン、ニール・ヤングと彼のバンドをめぐるドキュメンタリー『イヤー・オブ・ザ・ホース』(1997)、ニューヨーク暮らしで『葉隠(はがくれ)』が愛読書の孤独な殺し屋を主人公とする『ゴースト・ドッグ』(1999)がある。[北小路隆志]

資料 監督作品一覧

パーマネント・バケーション Permanent Vacation(1980)
ストレンジャー・ザン・パラダイス Stranger Than Paradise(1984)
ダウン・バイ・ロー Down by Law(1986)
ミステリー・トレイン Mystery Train(1989)
ナイト・オン・ザ・プラネット Night on Earth(1991)
デッドマン Dead Man(1995)
イヤー・オブ・ザ・ホース Year of the Horse(1997)
ゴースト・ドッグ Ghost Dog : The Way of the Samurai(1999)
10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス~「女優のブレイクタイム」 Ten Minutes Older : The Trumpet - Int. Trailer Night(2002)
コーヒー&シガレッツ Coffee and Cigarettes(2003)
ブロークン・フラワーズ Broken Flowers(2005)
リミッツ・オブ・コントロール The Limits of Control(2009)
『増田統編『ジム・ジャームッシュ』(2000・東宝)』

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)
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