スチュワード(読み)すちゅわーど(その他表記)Julian Haynes Steward

デジタル大辞泉 「スチュワード」の意味・読み・例文・類語

スチュワード(steward)

旅客機・客船で乗客世話をする男性乗務員。→スチュワーデス
船の料理番。賄い係。
[補説]1は、現在は、性差のない語である「キャビンアテンダント」「フライトアテンダント」を使うことが多い。
[類語]キャビンアテンダントフライトアテンダントスチュワーデス

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「スチュワード」の意味・読み・例文・類語

スチュワード

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] steward )
  2. 船の食事係。まかない方。司厨(しちゅう)長。
    1. [初出の実例]「それじゃシチャード(司厨司 スチューウアード)へ話して見ろよ」(出典:海に生くる人々(1926)〈葉山嘉樹〉六)
  3. 客船・旅客機などの男性の乗客係、給仕。男性の客室乗務員。旅客機の場合、現在では男女ともにフライトアテンダントという。
    1. [初出の実例]「呼鈴(ベル)あり、之を推せば、給仕(シチウアード)(は)せ来りて」(出典:風俗画報‐二三九号(1901)喫煙室)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スチュワード」の意味・わかりやすい解説

スチュワード(Julian Haynes Steward)
すちゅわーど
Julian Haynes Steward
(1902―1972)

アメリカの文化人類学者。カリフォルニア大学バークリー校で、クローバー、R・H・ローウィなどに師事し、1929年に博士号を取得。ミシガン、ユタ、コロンビア各大学を経て、1952年からイリノイ大学教授として活躍した。1956年(昭和31)には京都アメリカ研究セミナーの責任者として来日し、日本の人類学界にも大きな影響を与えた。『南米インディアンハンドブック』(1946~1948)、『プエルト・リコの人々』(1956)などの編著者として、ラテンアメリカ研究に貢献し、1952年に栄誉あるバイキング・メダルを受賞した。また、主著文化変化理論』(1955)により、人間と環境の相互作用を中心とする文化生態学を提唱し、後の生態人類学の発達の基礎を築いた。晩年は闘病生活のなかで研究活動を続けたが、1972年2月6日に病没。

[岡田宏明 2018年11月19日]

『米山俊直・石田絍子訳『文化変化の理論』(1979・弘文堂)』


スチュワード(客室乗務員)
すちゅわーど
steward

航空機に客室乗務員として乗り組み、旅客の保安業務とサービスを行う男性の呼称。しかし、1980年代以降は男女の区別がある職業名称を男女共通の名称に変え、フライト・アテンダント、キャビン・クルーなどとよばれている。

[松下正弘]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「スチュワード」の意味・わかりやすい解説

スチュワード
Julian Haynes Steward
生没年:1902-72

アメリカの文化人類学者。1950年代に文化変化の多系性を主張して多系進化説をたて,一般進化を説くL.A.ホワイトとともに新進化主義者とされた。カリフォルニア大学バークリー校でクローバーローウィらに学び,西部諸州の採集と小動物狩猟のインディアンを研究,文化生態学,文化統合のレベルなどの概念を確立した。スミソニアン研究所社会人類学部長として南アメリカのインディオ研究を集成してアメリカ人類学界の最高の栄誉バイキング・メダルを受けた。のちコロンビア大学でプエルト・リコ文化の研究,イリノイ大学に移って文化変化の通文化的法則性の研究を主宰した。主著《文化変化の研究》(1955)ほか多数の業績を残した。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スチュワード」の意味・わかりやすい解説

スチュワード
Steward, Julian H(aynes)

[生]1902.1.31. アメリカ,ワシントンD.C.
[没]1972.2.6. アメリカ,イリノイ,アーバナ
アメリカの文化人類学者。文化進化および新世界文明に関する理論で学界に大きな衝撃を与えた (→新進化主義 ) 。一連の文化変化の比較研究は,文化変化のなかの規則性を明らかにすると主張し,その有効性を証明した。コロンビア (1946~52) ,イリノイ (52~69) の各大学教授を歴任。主著『文化変化の理論-多系的進化の方法論』 Theory of Culture Change: The Methodology of Multilinear Evolution (55) ,『灌漑文明』 Irrigation civilization (55) ,『伝統社会の今日的変化』 Contemporary Change in Traditional Societies (3巻,67) 。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「スチュワード」の意味・わかりやすい解説

スチュワード

米国の文化人類学者。ミシガン,コロンビア各大学で人類学を教え,1952年以降イリノイ大学教授。斬新な文化変容論,多系的進化論をもって新進化主義者として著名。南米原住民文化の総括書《南アメリカ・インディアンのハンドブック》7巻(1946年―1959年)を編集。
→関連項目サーリンズ

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のスチュワードの言及

【航空機乗組員】より

…また,計器飛行や操縦教育を行う場合にもそのそれぞれについて資格を取得しなければならない。 一方,輸送機の客室乗組員はパーサー(事務長)とスチュワードおよびスチュワーデスに分かれ,ほぼ旅客30~40人に対して1人の割りで乗り組むが,いずれもサービス業務のみならず非常の際の避難指揮,誘導にも責任を負っている。なお,軍用機では操縦士のほか偵察員,銃・爆撃手,電子・音響機器要員,戦闘指揮官など多種類の乗員がある。…

【マナー】より

…有力な領主はいくつかのマナーを所有した。それぞれのマナーは領主の指名するベーリフbailiff(自由人差配)と農民選出のリーブreeve(農奴管理人)によって管理・運営され,さらにこれらのマナー全体を領主の代理であるセニシャルseneschal(またはスチュワードsteward)が年に2,3回巡回して経営の監督にあたった。しばしば領主は優等地を直営地に指定し,また地域によっては直営地の施肥のために囲いを設けて農民の家畜を強制的に放牧させた。…

【アメリカ・インディアン】より

…そのうちメソアメリカと中央アンデスの2領域では,その後の文化的・社会的発展が急速で,文明社会を形成,この両地域は核アメリカともよばれる。 中南米インディアンの文化領域について,J.スチュワードは,(1)メキシコ・マヤ高文明地域,(2)中央アンデス高文明地域,(3)砂漠農耕地域,(4)環カリブ海部族連合・首長国地域,(5)熱帯雨林農耕村落地域,(6)採集・狩猟民地域に分け,G.ウィレーは10地域に分類する。以下,スチュワードの分類をもとに,各地域の原住民文化の特徴をかいつまんでみてゆく。…

【文化】より

…文化を適応体系と見る立場は,技術,経済,生産に結びついた社会組織の要素が文化の中心的な領域と見る。ハリスM.Harrisの〈文化物質主義cultural materialism〉,サービスE.Serviceの〈文化進化主義cultural evolutionism〉,またスチュワードに由来する〈文化生態学cultural ecology〉,ラパポートR.Rappaportらの〈人類生態学human ecology〉などの間には,それぞれ適応の変化がいかに生まれ,いかに行われるかについて異なった見解がみられるが,ラパポートを除き,いずれも経済とそれに関連する社会的側面を第一義的な要因と考え,観念体系(宗教,儀礼,世界観など)を二義的な随伴現象とみる点では共通している。ラパポートは,儀礼の周期を適応体系の構成要素としてとらえている。…

※「スチュワード」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android