ストラボン(英語表記)Strabōn

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ストラボン
Strabōn

[生]前63. ポントス,アマセイア
[没]後21頃.ポントス,アマセイア
古代ギリシアの地理学者,歴史家。前 44年ローマに出てアリストテレス学派として地理,哲学を学び,オクタウィアヌス (アウグスツス ) の師アテノドロスの影響でストア学派に転じた。少くとも前 31年までローマに滞在,ポリュビオスの『世界歴史』を続けて,ローマ帝政成立までを記した 47巻の『歴史覚え書』 Historika hypomnēmataを書いた。前 29年コリントへの途上エーゲ海のギュアロス島を訪れ,前 25年または前 24年にナイル川をフィラエまで遡航した。その後『地理学』 Geōgraphia (17巻) の著述に着手,一時中断したと思われるが,14年に再開,23年に完成した。『歴史覚え書』はほとんど散逸したが,『地理学』はほぼ完全に現存,地理学の目的と方法論の定義をはじめ,イベリア,ガリア,イタリア,ドナウ川流域,黒海沿岸,ギリシア,コーカサス,小アジア,インド,ペルシア,メソポタミア,シリア,パレスチナ,紅海,アフリカの地中海岸およびマウレタニアについて,その史的経済的発展,神話,風俗習慣,動植物の生態などを含めて必ずしも科学的ではないが読みやすく記述している。

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デジタル大辞泉の解説

ストラボン(Strabōn)

[前64ころ~後23ころ]ローマ時代のギリシャの地理学者・歴史家。小アジアの人。地中海沿岸地方の史実や風土、伝承などを集録した史料的地誌「ゲオグラフィカ(地理学)」全17巻を著した。

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百科事典マイペディアの解説

ストラボン

ローマ時代のギリシア人地理学者,歴史家。膨大な史書(全47巻)と《地理書》を書いたが前者は失われた。後者は全17巻。当時の世界の地理を歴史と連関させて語っており,特に史実伝説を豊富に織りまぜているので貴重な資料である。また,ストア学派の立場から,自然と人間の間には〈適応〉の関係があると説いた。
→関連項目地理学入門

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世界大百科事典 第2版の解説

ストラボン【Strabōn】

前64か63‐後23ころ
ローマ時代のギリシア人歴史家,地誌家。小アジアのポントスのアマセイアに生まれ,修辞学,地理学,哲学を修め,ストア哲学者ポセイドニオス知遇を得た。ローマやアレクサンドリアに長期間滞在し,またイタリア,ギリシア,小アジア,エジプトの各地を旅行しながら見聞を広げたが,晩年は故郷で過ごした。ストア学派の信奉者として宗教には懐疑的であり,私情を交えない観察に努めた。ポリュビオスの《世界史》以後の時代のギリシア・ローマ史を扱った歴史叙述47巻はほぼ完全に失われている。

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大辞林 第三版の解説

ストラボン【Strabōn】

前64頃~後21頃) ローマ時代のギリシャ系地理学者・歴史学者。地中海沿岸の各地を旅行し、その知見と資料を地理書「ゲオグラフィカ」にまとめた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ストラボン
すとらぼん
Strabon
(前64ころ―後23ころ)

ギリシアの歴史家、地理学者。「地理学の父」とよばれる。小アジアのポントスのアマセイアに生まれる。各地方を旅行し、とくにローマとエジプトに長く滞在したが、晩年は故郷で過ごした。ストア派の哲学者でもあり、また歴史家として47巻に及ぶ歴史書を書いたが現存しない。しかし、当時知られていた世界について述べた17巻の『地理学』は、その大部分が現存し、いわゆる科学的な地誌の手本となった。たとえば、まず地球一般、ついでスペインから各地方を記述するという手法は、近代ヨーロッパの地誌においても守られた。またそれまでのギリシアの数理地理学的傾向と異なり、自然地理や天文学を軽視し、とくに地理と歴史のかかわりを重視し、彼自身の観察のほか、各地の神話や伝承を多く取り入れている。ギリシア、ローマの作家による多くの著作も引用されており、とくに現存しない作品が知られることから、古代史の史料として貴重である。[島 創平]

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世界大百科事典内のストラボンの言及

【ローマ美術】より

… 前5世紀までのローマ美術は,エトルリア美術およびマグナ・グラエキアのギリシア美術の影響を強く受け,いまだ独自性を有しておらず,その活動も活発ではなかった。このような状況をストラボンは,〈昔のローマ人は,美しさに気を配ることはなく,より大きなもの,より必要なものに心を奪われた〉と記している。しかし,前3世紀タラスやシュラクサイ(シラクザ)の征服によってギリシア美術の優品がローマに将来され,ローマ人はギリシアの美術に直接触れることになる。…

※「ストラボン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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