スミレ科(読み)すみれか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スミレ科」の意味・わかりやすい解説

スミレ科
すみれか
[学] Violaceae

双子葉植物、離弁花類。一~二年草、多年草、低木、高木、藤本(とうほん)(つる植物)があり、種数としては多年草と小低木がもっとも多い。葉は互生(地上茎のないものは束生状になる)し、托葉(たくよう)があり、普通は単葉羽状複葉はない)。花は両性花で、左右相称も放射相称もある。基本的には円錐(えんすい)または単生の総状花序で、1、2枚の包葉がある。萼片(がくへん)5枚、花弁5枚、雄しべ5本、花糸は短い。葯(やく)は直立して子房を円筒状に囲むものがある。萼片は花弁と互生し、雄しべと対生する。雌しべ1本、花柱は1本、子房は上位で3心皮、1室、1個から多数個の胚珠(はいしゅ)が側膜胎座につく。果実は普通は3裂する蒴果(さくか)で、裂開しない殻果状のものや液果もある。世界各地に約24属900種が分布し、熱帯アメリカに属数が多い。また木本の種は熱帯地方にだけ自生する。日本にはスミレ属約55種が分布し、多数の自然雑種が知られている。

[橋本 保 2020年7月21日]

 APG分類でもスミレ科とされる。

[編集部 2020年7月21日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スミレ科」の意味・わかりやすい解説

スミレ科
スミレか
Violaceae

双子葉植物スミレ目の1科。世界のほぼ全域に分布し 20余属約 900種があるが,その過半はスミレ属 Violaの草本で,北半球の温帯域と南アメリカのアンデス地域に知られる。例外的に低木や小高木となる種もある。葉は根生または互生し,顕著な托葉がある。花は両性花で左右相称形,萼片と花弁は5枚ずつ,おしべも5本である。子房は上位で1室であるが,熟すと3片に開裂して多数の小さな種子を飛ばす。スミレ属には通常花のほか閉鎖花をつけるものが多い。 (→スミレ〈菫〉 )

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