スルピリン

化学辞典 第2版 「スルピリン」の解説

スルピリン
スルピリン
sulpyrine

C13H16N3NaO4S・H2O(351.36).ジピロン(dipyron)ともいう.アンチピリンをニトロソ化し,50% ギ酸中で亜鉛末を加えて還元し,4-ホルミルアミノアンチピリンを得る.これにジメチル硫酸を作用させ,加水分解を行い,4-メチルアミノアンチピリンとし,ヒドロキシメタンスルホン酸ナトリウムを作用させるとスルピリンが得られる.無臭白色淡黄色結晶,または結晶性粉末.苦味を呈する.水またはエタノールに可溶.アミノピリンの注射用として水溶液化の目的でつくられた.解熱作用はアンチピリンの3倍,メルブリンの2倍,アミノピリンと同程度.消炎鎮痛作用も有する.[CAS 5907-38-0]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スルピリン」の意味・わかりやすい解説

スルピリン
sulpyrine

アミノピリン,アンチピリンとともに,ピリン系といわれる鎮痛解熱剤である。白色ないし淡黄色の結晶性粉末で,臭いはない。 1gは水 1ml,エタノール 30mlに溶け,エーテルにほとんど溶けない。中枢性作用で鎮痛,解熱作用を示し,アヘンアルカロイドバルビツル酸との併用で作用は増強する。抗炎症,抗リウマチ作用はあるが,アスピリンのような尿酸排泄作用はない。解熱作用はアンチピリンの3倍,アミノピリンと同程度である。副作用はアミノピリンやアンチピリンより少く,循環器や腎臓への毒性も弱い。長期投与による顆粒白血球減少症もある。その他,アレルギー反応があり,特にその皮膚・粘膜所見はピリン疹といわれ,よく知られている。

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