アルミナAl2O3基の白セラミックと呼ばれるものと,Al2O3にチタンカーバイドTiCなどを含ませた黒セラミックと呼ばれるものの2種がある。セラミック工具は金属工具に比べて,高硬度で,高温でもその硬度が維持され(表参照),耐摩耗性・耐溶着性に富むのが長所であるが,もろくて急熱急冷に弱いのが欠点とされる。1960年代に実用されはじめたころは,そのもろさのために鋳鉄の高速仕上げ切削に限定された。数値制御機械の普及とともに機械の剛性が上がり,セラミックスでも欠けなくなったこと,高速切削の必要性の増大したことによって,その使用範囲が広まった。Al2O3+TiC系工具では,高温での熱伝導率は向上し,靱性(じんせい)も大幅に改善されて,高速荒加工,フライス削りなどに用途が拡大した。最近,Si3N4系の工具も出現した。
執筆者:今中 治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
セラミックス材料を用いた工具で、酸化アルミニウム(Al2O3)、Al2O3+炭化チタン(TiC)、窒化ケイ素(Si3N4)を主成分とする3系統のものがあり、切削工具や引抜きダイスなどの耐摩耗用工具などがある。切削工具として用いた場合、超硬工具より高温下での硬度が高く耐摩耗性も大きいので、超硬工具の2~10倍の高速切削を行える。また切削時の高温・高圧下においても工具材と被削材との溶着、拡散作用がほとんどなく、良好な仕上げ面が得られるなどの特長がある。さらに超硬工具では非能率的、または切削不可能な材料の切削も可能などの利点もある。欠点である脆(もろ)さは、アルミナ結晶粒の微細化、均一化、添加物、ホットプレス法の採用などで改善され、さらに耐熱衝撃性も向上してきている。
[清水伸二]
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