タイガ気候(読み)たいがきこう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「タイガ気候」の意味・わかりやすい解説

タイガ気候
たいがきこう

北半球の大陸北部に発達する寒冷な気候。針葉樹林気候ともいう。亜寒帯気候植生により細分すると、タイガ気候と大陸混交林気候になる。最寒月平均気温は零下3℃以下、最暖月平均気温は10℃以上。この気候帯での最高気温はロシア連邦ヤクーツクの39℃、最低気温は同じくロシア連邦のオイミャコンの零下68℃である。年降水量は一般に400~500ミリメートル以下の所が多く、夏季に集中する。土壌は冬の寒さのため永久凍土層とポドゾル(灰白森林土)が発達し、夏季には農耕も可能となるが、大部分の地域は針葉樹林帯である。シベリアの針葉樹林ハリモミモミカラマツエゾマツが主体で、元来はこれらの樹林をタイガといった。北アメリカではハリモミ、カラマツが中心である。

[山下脩二]

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改訂新版 世界大百科事典 「タイガ気候」の意味・わかりやすい解説

タイガ気候 (タイガきこう)
taiga climate

W.P.ケッペンの気候区分法ではDwで,冷帯冬季乾燥気候または亜寒帯夏雨気候ともいう。夏は冷帯湿潤気候と同様で短く,少し雨が降るが,冬は寒くて乾燥気味で,期間が長いのが特徴。気温の年較差がきわめて大きい。針葉樹林(タイガ)が広く分布し,豊富な森林資源となっている。土壌はやせたポドゾルが主で,そのため農耕適地はきわめて少ないが,耐寒性作物(エンバク,ジャガイモ,オオムギなど)の栽培が進められ耕作限界線が徐々に北へ推移している。狩猟もさかんで,テンキツネなどの毛皮が主である。
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