南イタリアの活発な民俗舞曲。名称は南イタリアの古い都市ターラントに由来する。毒グモのタランチュラも同じ語源をもち,タランテラは古くから,このクモの毒を解毒する舞踏療法と結びつけられていた。17,18世紀の文献によればタランテラは患者の症状に応じて処法されるべきであり,踊りを強いるために高く鋭い音が要求された。このほか,タランテラの起源については,死と再生をかたどった儀式と解釈したり,南イタリアはギリシアからの移民が多かったためディオニュシア祭のなごりと考えたりするなど多くの説がある。現在もナポリ地方に残るタランテラは,集団で踊られる長時間にわたる求愛の踊りで,急速なテンポの3/8や6/8拍子のリズム,短調を中心にした旋律を特徴とし,カスタネットやタンバリンで伴奏される。19世紀以降タランテラは芸術音楽にも採用され,異国情緒に,きわめて速いテンポと興奮が休みなく続く名技性が加わって好まれた。ロッシーニの歌曲,リストとショパンのピアノ曲が特に有名であり,南イタリアにちなんだ標題音楽,オペラ,バレーにしばしば現れ,ソナタ,交響曲,組曲などの終曲に使われた例も少なくない。
執筆者:森 泰彦
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南イタリアの舞曲。6/8拍子の急速なもので、古くはカスタネットとタンバリンを手にした一組のカップルが踊った。この名称は、南イタリアの町タラントおよび同地方特有のタランチュラに由来し、16~18世紀にはこの毒グモにかまれたときの治療法として知られていた。しかし19世紀以後は新たに演奏会用作品として流行する。とくにショパンやリストのピアノ作品には、速いテンポで休みなく高度な演奏技巧を示す曲が多い。またウェーバーやメンデルスゾーンはソナタや交響曲の終楽章にこの舞曲を用いている。
[関根敏子]
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…ロシア生れの作曲家で,20世紀の芸術音楽の展開に決定的な影響を与えた。ペテルブルグ郊外のバス歌手の家庭に生まれ,早くから音楽に親しみ,9歳の時からピアノと作曲を学び,16歳の時に最初のピアノ曲《タランテラ》を作曲した。父親の希望でペテルブルグ大学法学部に入学したが,音楽家の道を捨てきれず,法学部の友人の父親リムスキー・コルサコフに作曲を師事し,1902年に本格的な習作《ピアノ・ソナタ》を完成した。…
…各地に伝わる素朴で独創的な和声法をとる合唱ポリフォニーはヨーロッパ最古の起源をもつと言われ,フィレンツェ近傍の山地で行われる〈五月祭の劇〉の音楽は,フィレンツェ市に近代オペラが興る前から存在する。代表的な舞曲のサルタレロやタランテラの起源も非常に古い。一方,そうした古い層の上に重ねられた新しい影響もまた民衆のものとして伝わり,たとえば近代的な調性(長・短両調)の使用,3度や6度の和声による合唱・合奏,マンドリン,ギター,アコーディオンなどの普及といったことがよく見られる。…
※「タランテラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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