改訂新版 世界大百科事典 「チャラカサンヒター」の意味・わかりやすい解説
チャラカ・サンヒター
Caraka-saṃhitā
インド二大古典医学書の一つ。カニシカ王(2世紀)の侍医といわれるチャラカの名で呼ばれているが,チャラカ個人に帰すべき書物ではなく,北西インドの都タキシラを中心とするアートレーヤ学派の医学をまとめたものである。アートレーヤという伝説的医聖の教えをアグニベーシャが編纂したものであり,チャラカは改編者の一人である。現在に至るまでインド古典医学(アーユル・ベーダ)の基本聖典になっている。その教えの根本はバータ(体風),ピッタ(胆汁),カパ(粘液)の3要素の平衡を保つことであり,徹底して内科的治療法を説く。また医者の道徳・倫理についても厳しく規定しており,哲学史上でも重要な文献である。
→インド医学
執筆者:矢野 道雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報