ドイツ、のちアメリカの物理学者、分子生物学者。1930年ゲッティンゲン大学で博士号を得、ニールス・ボーアのもとで研究するが、ボーアの影響で生物学に興味を抱き、1935年、ティモフェエフ・レソフスキーNikolay Timofeeff-Ressovsky(1900―1981)らとともに遺伝子の物理的モデルを提出する。1937年渡米し、カリフォルニア工科大学でエリスEmory L. Ellis(1906―2003)とファージ(バクテリオファージ)実験を開始し、一段増殖実験法を確立する。ついでルリア、ハーシェイとともにファージ・グループをつくり、ファージの検出、計数の方法の確立、細菌の自然突然変異の証明、ファージ突然変異と組換えの発見など、分子生物学の基礎を築く研究を行った。また毎年、コールド・スプリング・ハーバーでファージ講習会を開き、物理・化学出身者も含めて研究者の層を広げた。1954年ころよりフィコミセテス(Phycomycetes藻菌)を用いての感覚生理学の研究に転じる。1969年、ハーシェイ、ルリアとともに、「ウイルスの増殖機構と遺伝的構造に関する発見」によりノーベル医学生理学賞を受けた。
[石館三枝子]
ドイツの言語学者。イエナ大学教授(1870~1913)。1870年代以降ライプツィヒを中心に活躍した青年文法学派の有力なメンバーの一人。とくに印欧諸言語の統語論の比較研究で大きな貢献をした。ブルーグマンとの共著による浩瀚(こうかん)な『印欧語比較文法綱要』の後半『印欧語比較統語論』3巻(1893~1900)は彼の手になり、現在でもこの分野でのもっとも詳細な研究である。ほかに『統語論研究』5巻(1871~1888)、『印欧語研究序説』(1880)などがある。
[松本克己 2018年7月20日]
ドイツ生れ,アメリカの分子生物学者。1930年ゲッティンゲン大学で学位を得る。N.ボーア門下の物理学者であったが,ボーアの影響で生物学に転じ,35年ティモフェエフ・レソフスキーN.V.Timoféev-Ressovskyらとともに遺伝子の物理的性質について論文を書き,遺伝・増殖の解明こそ生物学の課題であると確信する。37年渡米し,エリスE.Ellisとファージの一段増殖実験法を確立する。40年代の初め,ルリアS.E.Luria,ハーシーA.D.Hersheyらと出会い,ファージグループをつくり,ファージの定量的研究法の確立,自然突然変異の証明(1943),ファージの組換え発見(1945)など,細菌とファージの分子遺伝学の基礎を築いた。44年,研究をT系ファージとB株の大腸菌に限定するよう提案し,研究の効率を高め,また毎年ファージ講習会を開いて研究者の層を広げた。54年ころより感覚生理学の研究を始める。69年ハーシー,ルリアとともにノーベル生理・医学賞を受けた。
執筆者:石館 三枝子
ドイツの言語学者。イェーナ大学教授。K.ブルクマンとともにライプチヒ大学を中心とする青年文法学派の一員として活躍した。その研究はサンスクリットを主とした統語論の領域に終始し,1886年より刊行されたブルクマンとの共著《印欧語比較文法Grundriss der vergleichenden Grammatik der indogermanischen Sprachen》(5巻)の後半部のほか,《古代インド語統語論》《統語論研究》《古代インド語の動詞》などを著した。なお《印欧語研究入門》も言語学史として貴重な著作。
執筆者:風間 喜代三
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…ちなみに日本でも小谷正雄,湯川秀樹らの物理学者が日本生物物理学会の創設(1960)に努力した。1940年代以降理論物理学者M.デルブリュックに率いられて,分子遺伝学が急速に進歩し,いっぽう核酸・タンパク質などの生体高分子の構造解析の方法が発達した。53年J.D.ワトソンとF.H.C.クリックによるDNAの相補的二重らせん構造の発見,60年のペルツM.Perutzによるタンパク質として初めてのヘモグロビンの立体構造の決定がその代表的成果である。…
…しかし,彼らの研究結果は疑う余地のないものであったにもかかわらず,他研究者の興味と承認を得るにいたらなかった。M.デルブリュックを総帥とする,アメリカのファージ(細菌ウイルス)・グループの一員であるハーシーA.D.Hersheyが,ファージ感染・増殖の本体がDNAであることを1952年に示したころから,実質的な分子生物学的研究が盛んに行われるようになった。デルブリュック,ルリアS.E.Luriaに代表される細菌やファージの自己増殖を研究する分子遺伝学グループ,一遺伝子一酵素説を提唱したビードルG.W.Beadle,テータムE.L.Tatumによる代謝の制御を研究する遺伝生化学的研究の開始,そしてイギリスのケンブリッジにおける,ブラッグW.L.Bragg,ペルーツM.F.Perutz,ケンドルーJ.C.Kendrewなどの学派によるX線結晶解析によるタンパク質分子の構造解析が,当時の分子生物学のすべてといってよい。…
※「デルブリュック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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