ベルゲン(読み)べるげん(その他表記)Bergen

デジタル大辞泉 「ベルゲン」の意味・読み・例文・類語

ベルゲン(Bergen)

ノルウェー南西部の港湾都市北海沿岸のビーフィヨルド湾奥に位置し、同国第2の規模をもつ。もとハンザ同盟都市で、現在も重要な貿易港となっている。造船機械などの工業が発達し、漁業も盛ん。1979年、旧市街の倉庫群ブリッゲン世界遺産文化遺産)に登録された。

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精選版 日本国語大辞典 「ベルゲン」の意味・読み・例文・類語

ベルゲン

  1. ( Bergen ) ノルウェー南西部の港湾都市。もとハンザ同盟都市で、水産物取引地として発展した。北海沿岸航路の起点で、造船・機械・食品工業なども盛ん。ベルゲンフス城をはじめ、中世の史跡が多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベルゲン」の意味・わかりやすい解説

ベルゲン
べるげん
Bergen

ノルウェー南西部にあり、首都オスロに次ぐ同国第二の都市。人口23万3892(2002)。ビーフィヨルドの湾奥に位置する港湾都市で、西側沿岸はスケアゴードSkjægård島によって外海から保護されている。また市街地は標高700メートル以下の七つの丘で囲まれている。大西洋からの湿った空気が東側に控える標高1700~1900メートルのハルダンゲル高原にあたるため雨が多く、年降水量は2006ミリメートル、1980年の降雨日数は201日に達した。1070年ノルウェー王オーラフ・キーレOlaf Kyrre(在位1066~93)によって創建され、1350年ハンザ同盟に加わった。その後200年以上にわたってノルウェー西海岸の貿易を支配し、海運と結び付いた金融の中心地として発展した。1909年にオスロとの間に鉄道が完成するまでは、背後に広がるハルダンゲル高原の存在により内陸との交通が遮られ、国内各地よりもイギリスとの海外交易に人々の関心が向けられていた。1840年代にイギリスから紡績工場が導入され、これを契機に産業が発展した。今日ではノルウェー南西部の諸都市を結ぶ商業中心地であるとともに、造船、機械、食品、繊維など多方面にわたる工業が発達する。また港は水産物、鉄鋼などを輸出し、食品、羊毛、綿花などを輸入して、オスロと並ぶ重要な貿易港となっている。

 市街地は港を中心に発達し、港の奥には魚市場があり、前の広場には魚や花の露店が並び、多くの買い物客でにぎわう。港の北側、海岸沿いのブリゲン(ブリッゲン)通りには急傾斜の切妻屋根をもった木造の倉庫が並び、中世に繁栄したハンザ同盟時代の港のおもかげを残している。この地区は1979年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。港の南側は沿岸各地やフィヨルドの奥地へ向かう船の波止場となっている。市の北部には標高320メートルのフレーイエン山があり、港の東からケーブルカーが通じる。山頂からは市街、港、遠くの島々、背後の山並みが一望できる。市はノルウェー西部地域の教育・文化の中心地ともなっており、博物館、美術館、ベルゲン大学がある。また作曲家グリークや劇作家ホルベアなど、多くの文化人も輩出した。

[竹内清文]


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改訂新版 世界大百科事典 「ベルゲン」の意味・わかりやすい解説

ベルゲン
Bergen

ノルウェー南西部,北海に面する港湾都市で,人口24万0684(2005)。地理的な位置と港湾に好適な地勢のゆえに古くからイギリス,ドイツと密接な関係をもつ貿易都市であった。14世紀に首都がオスロに移されるまでノルウェー王国の首都であった。今日なおノルウェー第2の都市として重きをなし,商工業,とくに造船業の中心地となっている。

 1070年にノルウェー王オーラブ3世によって建設され,バイキング時代の交易の中心地として発展した。歴史上ベルゲンを名高くしているのは,中世を通じここにハンザ同盟の商館が置かれていたことである。ベルゲンのハンザ商館は〈ドイツ人の橋〉と呼ばれ,ノルウェー国王から正式に認められたのは14世紀中ごろのことである。早くから主としてリューベック出身のドイツ人商工業者が集団で居住し,ハンザ貿易の重要な一翼を担っていた。外地にあるハンザ商館の中でも重要ないわゆる四大商館(ロンドン,ブリュージュ,ノブゴロドおよびベルゲン)の一つで,しかも駐在員の人数は四つの中で最も多かった。商人のみならず手工業者も住みついていたことは他の商館にはない特色である。ハンザ時代を通じてベルゲンは,農業生産の乏しいノルウェーへの穀物輸入港として,ノルウェーの死命を制する位置にあり,それだけにハンザ商人のノルウェーに対する経済的支配力は強大であった。近世以降ノルウェー王権の伸張に伴い,ハンザ商館の特権にも制約が加えられ,ハンザ所有の建物の多くもベルゲン市有に帰した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベルゲン」の意味・わかりやすい解説

ベルゲン
Bergen

ノルウェー南西部,ホルダラン県の県都。オスロ西北西約 300kmのノルウェー海に面する。同国第2の都市で,オスロ,トロンヘイムとともにノルウェー三大都市の一つ。高緯度に位置するがメキシコ湾流のため温暖,湿潤で,年間雨量は 2000mmに達する。港と商業地区はビーフィヨルド湾に突き出した岬にあり,岬の北側には小型船のためのボーゲン港,南側には大型船のための港がある。 1070年オーラフ3世によって創設され,12~13世紀にはノルウェーの首都であったが,14世紀以降,ノルウェーの衰勢に乗じたドイツのハンザ同盟の商人がここを基地に 18世紀まで周辺の海運業を独占して栄えた。現在の主産業は,漁業,造船業,鉄鋼業,水産加工業などで,フィヨルド観光の中心地。主要な建物は 12世紀のマリア聖堂,13世紀のベルゲンフス城塞,ローゼンクランツ塔などで,ベルゲン大学,西ノルウェー博物館などの文化施設がある。作曲家 E.グリーグ,風景画家 J.C.ダールの生地。ハンザ同盟時代の町並みが保存されるボーゲン港東側の旧ドイツ人居留地区ブリッゲンは 1979年世界遺産の文化遺産に登録。オスロと鉄道で結ばれる。人口 21万 5967 (1992推計) 。

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百科事典マイペディア 「ベルゲン」の意味・わかりやすい解説

ベルゲン

ノルウェー南西部の港湾都市。北海沿岸航路の要地で,ノルウェー最大の貿易港。造船,金属,繊維,製紙,水産加工などの工業が行われる。北海油田開発の拠点。12世紀のホーコン宮,マリア教会,ベルゲン大学(1948年創立)などがある。1070年に都市特権を得,14―16世紀にはハンザ同盟の要地として繁栄。19世紀オスロが発展するまでノルウェー第一の都市だった。ハンザ都市の姿をのこすブリッゲン地区は1979年世界文化遺産に登録。24万7731人(2013)。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ベルゲン」の解説

ベルゲン
Bergen

ノルウェー南西海岸の港市。オスロに次ぐ第2の都市でもある。歴史的な商業港で,中世後期から北海貿易の一大中心地となり,ハンザ同盟の商館が置かれて3世紀以上にわたって繁栄した。

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