フィンランドの作家,詩人,歴史学者,童話作家。西部の寒村クードネスに生まれ,医者で民族詩採集者の父や,国民的大詩人ルーネベリの教育を受け,15歳で大学に入り歴史学を学んだ。詩集《荒野の花》3巻(1845-54),歴史小説《軍医物語》4巻(1853-67)は,美しい自然描写と祖国愛とが溶け合っていて,ルーネベリの《ストール旗手物語》とともに,ロシア治下のフィンランド国民の祖国愛をかきたて,彼の名を不朽にした。しかし,世界的名声を博したのは,愛と善意と勇気に満ち,幻想的な童話集《子どものための読物》8巻(1865-96)である。〈一度は愛の支配する神の国となるべきだ〉と,高い理念を世に問いながら,一方で子どもたちには,いつの日か祖国をそのような理想的国家として独立させうる人材となることを期待して童話を書いた。彼の作品は,スウェーデン語で書かれ,晩年スウェーデン政府,スウェーデン・アカデミーより最高の栄誉を受けた。
執筆者:高橋 静男
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フィンランドの作家、歴史学者。西部の寒村クードネスに生まれる。医者・伝承詩採集家の父や、国民的大詩人ルーネベリの教育を受け、15歳で大学生となり、歴史学を学んだ。詩集『ヒースの花』三巻(1845~54)、W・スコット風の歴史小説『軍医物語』四巻(1851~66)は、美しい自然描写と祖国愛とが融合し、ロシア治下のフィンランド国民の祖国愛をかき立て、彼の名を不朽にした。しかし、世界的に名声を博したのは、愛と勇気と善意に満ちた幻想的な童話集『子供のための読物』八巻(1865~96)であった。「一度は愛の支配する神の国となるべきだ」と、高い理念を世に問いながら、子供たちにその実現を期待し、精魂を傾けて約300話の童話を残した。近代童話の父として、北欧ではアンデルセンをしのぐ人気を得ている。スウェーデン政府・同アカデミーより最高の栄誉を受けた。『星のひとみ』ほか他数が邦訳されている。
[高橋静男]
『渡部翠訳『ほしのひとみ』(1979・集英社)』
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