トペリウス(英語表記)Sakari(Zachris) Topelius

デジタル大辞泉 「トペリウス」の意味・読み・例文・類語

トペリウス(Sakari Topelius)

[1818~1898]フィンランド詩人小説家。ロシア治下における祖国愛スウェーデン語で書き、フィンランド国民文学の先駆者となった。詩集荒野の花」、小説「軍医物語」、童話「星のひとみ」など。

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精選版 日本国語大辞典 「トペリウス」の意味・読み・例文・類語

トペリウス

  1. ( Sakari Topelius サカリ━ ) フィンランドの詩人、小説家。ロシア治下において、スウェーデン語による愛国的詩・歴史小説多くの児童読物を書いた。作品は小説「軍医物語」、詩集「荒野の花」、童話「子どもの読物」「星のひとみ」など。(一八一八‐九八

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改訂新版 世界大百科事典 「トペリウス」の意味・わかりやすい解説

トペリウス
Sakari(Zachris) Topelius
生没年:1818-98

フィンランドの作家,詩人,歴史学者,童話作家。西部の寒村クードネスに生まれ,医者で民族詩採集者の父や,国民的大詩人ルーネベリの教育を受け,15歳で大学に入り歴史学を学んだ。詩集《荒野の花》3巻(1845-54),歴史小説《軍医物語》4巻(1853-67)は,美しい自然描写と祖国愛とが溶け合っていて,ルーネベリの《ストール旗手物語》とともに,ロシア治下のフィンランド国民の祖国愛をかきたて,彼の名を不朽にした。しかし,世界的名声を博したのは,愛と善意と勇気に満ち,幻想的な童話集《子どものための読物》8巻(1865-96)である。〈一度は愛の支配する神の国となるべきだ〉と,高い理念を世に問いながら,一方で子どもたちには,いつの日か祖国をそのような理想的国家として独立させうる人材となることを期待して童話を書いた。彼の作品は,スウェーデン語で書かれ,晩年スウェーデン政府,スウェーデン・アカデミーより最高の栄誉を受けた。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「トペリウス」の意味・わかりやすい解説

トペリウス
とぺりうす
Sakari Topelius
(1818―1898)

フィンランドの作家、歴史学者。西部の寒村クードネスに生まれる。医者・伝承詩採集家の父や、国民的大詩人ルーネベリの教育を受け、15歳で大学生となり、歴史学を学んだ。詩集『ヒースの花』三巻(1845~54)、W・スコット風の歴史小説『軍医物語』四巻(1851~66)は、美しい自然描写と祖国愛とが融合し、ロシア治下のフィンランド国民の祖国愛をかき立て、彼の名を不朽にした。しかし、世界的に名声を博したのは、愛と勇気と善意に満ちた幻想的な童話集『子供のための読物』八巻(1865~96)であった。「一度は愛の支配する神の国となるべきだ」と、高い理念を世に問いながら、子供たちにその実現を期待し、精魂を傾けて約300話の童話を残した。近代童話の父として、北欧ではアンデルセンをしのぐ人気を得ている。スウェーデン政府・同アカデミーより最高の栄誉を受けた。『星のひとみ』ほか他数が邦訳されている。

高橋静男]

『渡部翠訳『ほしのひとみ』(1979・集英社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トペリウス」の意味・わかりやすい解説

トペリウス
Topelius, Zacharias

[生]1818.1.14. クドネス
[没]1898.3.12. ヘルシンキ
フィンランドの歴史学者,詩人,小説家,児童文学者。スウェーデン語で著作。 1863年にヘルシンキ大学教授となり,75~78年学長。詩集『ヒースの花』 Ljungblommor (3巻,1845~54) ,歴史小説『軍医物語』 Fältskärns berättelser (4巻,53~67) は,ロシア統治下にあって国民の祖国意識を高揚させた愛国心みなぎる作品で,今日も多くの国民に愛読されている。『子供のための読み物』 Läsning för barn (8巻,65~96) 所収の童話『星のひとみ』『白樺と星』『バルテル君の冒険』などは邦訳されている。ほかに歴史短編集『冬の夜ばなし』 Vinterqvällar (3巻,80~97) など。なおトペリウス児童文学賞が設けられている。

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百科事典マイペディア 「トペリウス」の意味・わかりやすい解説

トペリウス

フィンランドの詩人,小説家。新聞編集者,歴史学教授などを務める。歴史小説《軍医物語》(4巻,1853年―1867年)で知られ,またフィンランド民話の収集再話も愛読される。作品は当時の文語であるスウェーデン語で書かれている。

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