トルクメン語(読み)とるくめんご(英語表記)Turkmen

翻訳|Turkmen

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トルクメン語」の意味・わかりやすい解説

トルクメン語
とるくめんご
Turkmen
Türkmen

トルコ系諸言語の一つ。トルクメニスタン共和国(イランの北、首都アシガバート)を中心に、ウズベキスタンタジキスタンカザフスタンなどの各共和国で約270万人(1989)が話している。また、イランに50万人以上、アフガニスタンに2万人ほどのトルクメン人が住んでいる。トルコ語族のうち南方語派に属し、アゼルバイジャン語などに近く、方言が多い。トルクメン語はトルコ祖語の長母音を保存し、東シベリアサハヤクート)語のそれとよく対応することで有名である。アラビア文字で表記されていたが、1929年からラテン化され、40年からはキリル文字を基礎とした正書法が採用されている。93年トルクメニスタン大統領ニヤゾフ署名のラテン文字アルファベットが公布された。しかし、一般にはロシア語およびキリル文字表記のトルクメン語も使用されている。

[竹内和夫]

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改訂新版 世界大百科事典 「トルクメン語」の意味・わかりやすい解説

トルクメン語 (トルクメンご)
Turkmen

トルクメン族の母語。トゥルクメン語ともいう。旧ソ連内にいたトルクメン族のうち98.7%によって用いられる。旧ソ連から独立したトルクメニスタン共和国では73.3%(311万8000人)がトルクメン族である。旧ソ連外の中東各国(イラク,トルコ,アフガニスタン,イラン,シリアヨルダン)にも約50万人のトルクメン族がいる。言語の系統としてはチュルク諸語に属し,トルコ語アゼルバイジャン語に近い。言語の特徴として,(1)原始チュルク語の第1音節の長母音を残していること(aaт〈名〉,дyyз〈塩〉),(2)トルコ語の動詞の連体形-dVk~-tVkおよび-mVşの代りに-гaн~-гeн~-aн~-eнがあること,があげられる。トルコ語と同様,確実の非過去を表す接辞-йop(-йoop)をもっているが,これが標準トルクメン語では母音調和をした-йap~-йэpという形も発達させている。1940年以降ロシア文字正書法を使っている。
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百科事典マイペディア 「トルクメン語」の意味・わかりやすい解説

トルクメン語【トルクメンご】

トルクメニスタンを中心に話されているチュルク諸語に属する言語。一部の方言はウズベキスタンやイランなどにも分布。チュルク諸語の中では母音の長短の区別を保っている点に特色があり,チュルク諸語の比較研究に重要な位置を占める。現在はローマ字正書法が行われている。話し手の数は約200万人。
→関連項目トルクメニスタントルクメン[人]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トルクメン語」の意味・わかりやすい解説

トルクメン語
トルクメンご
Turkmen language

トルクメニスタンを中心に,ウズベキスタン,カザフスタン,さらにアフガニスタンなどで話されている言語。チュルク諸語の南西方言 (オグズ方言) に属し,トルコ語アゼルバイジャン語と近い関係にある。話し手はトルクメニスタン,ウズベキスタン,カザフスタンに約 200万人,近隣諸国に約 100万人。チュルク祖語までさかのぼるとみられる長母音を有する。 14世紀から文献があり,現在はロシア文字を使用。

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