語の構成要素の一つ。それ自体が独立して用いられることはないが、語基に添加されて新たな語をつくる要素(「拘束形態素」とよぶ)となっている。接辞を添加してできた語を派生語という。語基との相対的な位置関係により、接頭語、接尾語に分かれる。世界の言語のなかには、タガログ語のように、接中辞をもつものもある。
接辞は、それ自体がなんらかの意味を表しているが、(1)意味だけを添えるものと、(2)語基の語の文法上の性質を変える(たとえば、その品詞を変える)ものとがある。たとえば、「お茶」「か細い」は(1)の例であり、「悲しさ」「まるめる」は(2)の例である。接頭語は大部分が(1)に属し、接尾語は(1)(2)の両方がある。日本語では、前述の例のような和語系のものに加えて、「非―」「反―」「―的」「―性」のような漢語系のもの、「アンチ―」「―イズム」のような外来系のものが造語力をもつようになってきた。
[杉浦茂夫]
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…屈折には,語形のある部分を1個所,かつ,それを全体として交替させるというものと,ある部分に交替しうる複数の要素が並んでいるもの,2個所以上で交替を示すものなどがある。このような交替する要素は〈接辞〉と呼ばれるが,正確を期するためには〈屈折接辞〉とでも呼ぶべきである。屈折接辞は,音形のちがいを無視して意味の同じものを同一物と考えると,ある品詞に属する単語(の本体,すなわち〈語幹〉)には原則としてそのすべてに直接もしくは間接的に接続しうる。…
…〈サカナ〉は,本来は〈サカ(酒)・ナ(菜)〉であったが,今日では1語であり複合語とは認められない(これを〈仮装複合語〉のごとく呼ぶのは歴史的観点より見たものである)。(2)派生 語幹に接辞(接頭辞,接尾辞など)を付して新語を作ること。接辞は独立の単語ではないため,複合と区別される。…
…なお,派生語尾がついてできあがった語幹や単語が長い時間を経過すると,その語尾の意味が不明瞭になり,語尾といえるかどうかわからなくなる場合もある。なお,接尾辞は語幹または語根の前に付着する接頭辞,真ん中に割ってはいる接中辞などとともに接辞と総称する。【湯川 恭敏】。…
…単語の構成要素の一つ。接頭語とともに接辞という。それ自身は単独で用いられず,常に他の単語(または単語の中心的意味を負う部分)の後に結合して,いろいろの意味を添える。…
※「接辞」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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