日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドイツトウヒ」の意味・わかりやすい解説
ドイツトウヒ
どいつとうひ
norway spruce
common spruce
[学] Picea abies (L.) Karst.
マツ科(分子系統に基づく分類:マツ科)の常緑針葉高木。オウシュウトウヒ、ヨーロッパトウヒともいう。大きいものは高さ70メートル、径2メートルに達する。葉は暗緑色で光沢があり、先端は鋭くとがり、多少曲がる。雌雄同株。5~6月、開花する。雄花、雌花ともに頂生。球果は下垂し、トウヒ属のなかでもっとも大きく、円筒形または長楕円(ちょうだえん)形で長さ10~20センチメートル、径3~4センチメートル、10月、鮮褐色に熟す。ヨーロッパに広く分布するほか各国で植栽され、100種以上の変種が知られている。日本には明治中期に導入され、中部地方以北の本州、北海道などに植林されている。陰樹で、適潤性の軽い土壌でよく育つ。浅根性で風に弱い。庭園樹、公園樹、防風樹、防雪樹として植えられる。材は建築、器具、楽器、パルプなどに利用し、クリスマス・ツリーとしても賞用される。
[林 弥栄 2018年5月21日]