ヌー(その他表記)gnu
Connochaetes taurinus

デジタル大辞泉 「ヌー」の意味・読み・例文・類語

ヌー(gnu)

ウシ科の哺乳類。大形のレイヨウで、体毛灰色または黒褐色たてがみや尾は長く房状をなし、黒色。角は雌雄ともにあり、大きい。アフリカ東部および南部草原群れをつくって暮らす。オグロヌー。うしかもしか。

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精選版 日本国語大辞典 「ヌー」の意味・読み・例文・類語

ヌー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] gnu 南アフリカコイサンの呼称 ‘t'gnu に由来 ) 偶蹄目ウシ科ハーテビースト亜科の哺乳類。近縁のオジロヌーとあわせ二種の総称としても用い、またウィルドビーストという別名もある。体長二メートル前後、体高一・二メートル前後、頭部と肩が大きい割に体は細く、首と肩のたてがみと、のどの下に伸びるひげが特徴。尾は黒く、地面に届くほど長い。体色は褐色。角は家畜の牛に似る。アフリカ中南部に分布し、水辺の草原に群をなして生息。雨期と乾期の変わり目に草をもとめ、百万頭以上の大群で移動をすることで有名。うしかもしか。

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改訂新版 世界大百科事典 「ヌー」の意味・わかりやすい解説

ヌー
gnu
Connochaetes taurinus

東アフリカから南アフリカのサバンナにすむ大型のアンテロープ。別名ウシカモシカワイルドビースト,ウィルドビースト(英名wildebeest)。偶蹄目ウシ科の哺乳類。前半身と頭部ががっしりとしていて大きく,ウシを思わせるのに対して後半身が細くふつりあいに貧弱に見える特異な姿をしている。雌雄ともにウシに似た角をもち,四肢は細い。首から肩にかけて長い黒色のたてがみがある。体色は茶褐色。尾の毛は黒く長い。体長175~240cm,肩高115~145cm,尾長70~100cm,体重145~270kg。

 しばしば,シマウマなどの他の種の有蹄類を含む大きな群れをつくって生活するためによく目だつ。とくに6~7月の雨季から乾季への変り目と10~11月の乾季から雨季への変り目には,数万の大群をつくり,とぎれなく移動する姿が見られることで名高い。これは乾季に草原の草を利用できなくなることから,低地の河辺林へ移るためである。移動距離は数百kmに達する。朝と夕方にとくによく活動して,おもに草を食べる。雌は,雨季の移動を終え,草原に出てまもなく,1産1子を生む。ライオン,ハイエナ,リカオンなど捕食者が多く,とくに出産時の雌と誕生直後の子がねらわれるが,ヌーは,大部分の個体が1年のうちの3~4週間という限られた期間にいっせいに子を生むことで犠牲を少なくしている。視覚,聴覚,嗅覚(きゆうかく)ともにすぐれている。近縁種に,南アフリカにすむオジロヌーC.gnouがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヌー」の意味・わかりやすい解説

ヌー
ぬー
gnu
[学] Connochaetes taurinus

哺乳(ほにゅう)綱偶蹄(ぐうてい)目ウシ科の動物。アンテロープの1種で、ウシカモシカ、オグロヌー、ウィルドビーストともいう。アフリカ東部から南部に分布し、開けたサバナに生息する。肩高1.3~1.4メートル、体重150~270キログラム。角は雌雄にあり、長さ65センチメートルほどである。体は灰色で、たてがみや尾は黒色。通常20~50頭ほどの群れをつくり、朝夕にイネ科の若葉や芽を好んで食べる。乾期には数万頭の大群をなし、1日に50キロメートル、目的地まで1600キロメートルを超す大移動を行う。移動の途中で雄をリーダーとする繁殖期の群れがつくられる。妊娠期間は8~9か月で、若草の多い雨期に普通1子が生まれる。寿命は約20年。アフリカ南部には近縁種のオジロヌーC. gnouが分布する。本種は肩高1.15メートル、体重130キログラムと小形で、胸に長毛があり、尾が長くて白い。かつては多数が生息したが、乱獲により絶滅寸前となった。しかし、現在では保護され、2000頭以上にまで回復している。

[今泉忠明]


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百科事典マイペディア 「ヌー」の意味・わかりやすい解説

ヌー

ワイルドビースト,ウィルドビースト,ツノウマとも。偶蹄(ぐうてい)目ウシ科ヌー属の哺乳(ほにゅう)類2種の総称。レイヨウの一種。雌雄とも角をもつ。オジロヌー(オジロウィルドビースト)は体長2.3m,尾60cm,肩高1.2mほど。暗褐色〜黒色で尾は黄白色。南アフリカの開けた草原に群生する。オグロヌー(ウィルドビースト)は前種よりやや大きく,尾は暗褐色。南アフリカ北部〜赤道のすぐ南のケニアまでの湿った草地と開けた林地にすむ。
→関連項目レイヨウ(羚羊)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヌー」の意味・わかりやすい解説

ヌー
Connochaetes; gnu

偶蹄目ウシ科ヌー属のアンテロープの総称で,オグロヌー C. taurinusとオジロヌー C. gnouの2種から成る。オグロヌーは,体長 2m,体高 1.3m内外。体は灰色,顔面は黒色で,鼻孔が幅広い。尾も黒い。草類が主食で,東アフリカの草原に群れをつくって分布している。オジロヌーは,前種よりやや小型で,尾が白い。南アフリカ中央部に多数生息していたが,近年は保護区にわずかに残っているだけで,ほとんど絶滅に近い状態である。

ヌー
Nu

古代エジプトの神。混沌を意味する原初の大洋で,創造に先立ち,すべてのものの根源を胚胎していた。太陽神レーはヌーから生れた。いくつかの文書は彼を「神々の父」と呼んでいるが,彼の行なった創造は知的なものにとどまった。しばしば水端に半身を沈め,腕を差上げて彼から生れた神々を支える人間の姿で表現される。しかし,彼の寺院や崇拝者はなかった。

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世界大百科事典(旧版)内のヌーの言及

【ヌート】より

…古代エジプトの天空の女神。ヘリオポリス神学によれば,大地の神ゲブの妻,オシリス,イシス,セト,ネフテュスの母で,ヘリオポリス九柱神の一人,シューとテフヌートの娘とされる。シューに支えられて,両足と両手を東西の地平線に置いた姿で表されるが,地上に立つ巨大な牝牛の姿をとることもある。…

【レイヨウ(羚羊)】より

…体は黄褐色,栗色,灰色などあり,白斑は左右の目の間にときどきみられる。すべてアフリカ産で,300~1000頭にもなる群れをつくるハーテビーストAlcelaphus buselaphus,独特の長い顔と短く太い角をもつコンジハーテビーストA.lichtensteini,アリ塚などに登って敵を見張る習性をもつトピDamaliscus lunatus,大群で季節的移動をするヌーConnochaetes taurinusなどの3属7種がある。(3)オリックス亜科Oryginae 大型で雌雄とも長い槍状,サーベル状,あるいは栓抜き状の角をもち,顔に腺はなく,尾は長く先に房毛がある。…

【レイヨウ(羚羊)】より

…体は黄褐色,栗色,灰色などあり,白斑は左右の目の間にときどきみられる。すべてアフリカ産で,300~1000頭にもなる群れをつくるハーテビーストAlcelaphus buselaphus,独特の長い顔と短く太い角をもつコンジハーテビーストA.lichtensteini,アリ塚などに登って敵を見張る習性をもつトピDamaliscus lunatus,大群で季節的移動をするヌーConnochaetes taurinusなどの3属7種がある。(3)オリックス亜科Oryginae 大型で雌雄とも長い槍状,サーベル状,あるいは栓抜き状の角をもち,顔に腺はなく,尾は長く先に房毛がある。…

※「ヌー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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