日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノース・カロライナ大学」の意味・わかりやすい解説
ノース・カロライナ大学
のーすかろらいなだいがく
University of North Carolina
アメリカ合衆国ノース・カロライナ州内の16の州立大学からなる州立大学システム。州内各地にある16のキャンパスに総計20万2381人(2006年現在)もの学生を擁(よう)する大規模大学システムである。本部は、同システムの代表校であるチャペルヒル校内にある。
チャペルヒル校University of North Carolina(UNC) at Chapel Hillの創設は1789年であるが、複数大学を擁するシステムの創設は1931年である。当初はチャペルヒル校、グリーンズボロ校UNC at Greensboro、ローリーRaleighにあるノース・カロライナ州立大学North Carolina State Universityの3校のみだったが、1960年代にその他3校が加わり、1971年に州内の公立4年制大学を全校含めた現在の16大学からなるシステムとして定められた。州内から通う学生の学費は、伝統的に低く設定されており、全米でもっとも安価な学費設定となっている。
16大学のうち、学士課程教育のみを提供しているのは3校、大学院までの教育を提供している大学は13校(うち4校が博士課程まで提供)である。州全域に広がる生涯教育体制も整備されている。合計300以上の専門分野で学位を出しているが、とくに高いニーズのある教育学、社会福祉学、工学、看護学の分野では、州内の学士学位の4分の3以上を占めている。その他、非常に質の高い教養教育、医科大学院2校、付属病院1か所、法科大学院2校、獣医科大学院、薬科大学院各1校、10の看護課程、教育大学院15校、工科大学院3校、舞台芸術専門大学院1校がある。
また研究面でも、州の経済、健康、社会的なニーズに応える分野の研究が、州資金によって多く実施されている。がんや関節症などの疾病研究分野で有名であり、農業技術、バーチャルリアリティ、バイオテクノロジー等の研究分野でも評価が高い。
[飯吉弘子]
チャペルヒル校
1776年に州議会で認可され、1789年に創設された合衆国最初の公立大学。1793年に公立大学の建物としてはもっとも古い男子寮Old Eastが建設され、1795年に最初の学生が入学した。2006年現在、学生数は合計2万7717人。学士71分野、修士107分野、博士78分野(うち四つが専門職学位)のコースをもつ総合大学である。アメリカ国内外で評価の高い研究大学であり、評価の高い公立大学群の呼称である「パブリック・アイビーPublic Ivy」の一つに数えられている。教員数は3100人(うち1382人が専任教員)である。学士課程学生の約9割、大学院生の約8割が州内からの入学者である。学生の学力水準は非常に高く、学士課程学生の76%が、各高校のトップ10%の成績レベルであり、40%近くが各高校上位10名以内である。人気の高い専攻は、ジャーナリズムとマスコミュニケーション、生物学、経営学、心理学、政治学、コミュニケーション学、英語学、経済学、歴史学、運動・スポーツ科学等である。大学スポーツでも有名で、バスケットボール選手のマイケル・ジョーダンは同校出身である。
なお、同校とノース・カロライナ州立大学と私立のデューク大学の3校は「リサーチ・トライアングルResearch Triangle」と称され、3校の中間地域には研究拠点のリサーチ・パークResearch Triangle Parkもある。
[飯吉弘子]