ハイノキ

百科事典マイペディアの解説

ハイノキ

ハイノキ科の常緑小高木。本州(近畿以西)〜九州の暖地の山中にはえる。葉は楕円形で先は長く尾状にとがり,薄い革質となる。5〜6月,葉腋に3〜6個の白色花を総状につける。花冠は深く5裂し径約12mm,おしべ多数。果実は狭卵形で10〜11月紫黒色に熟す。名は燃やすと多量の灰が残ることによる。近縁クロバイトチシバとも)は葉が厚い革質で光沢があり,ともに材を器具などとする。

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世界大百科事典 第2版の解説

ハイノキ【Symplocos myrtacea Sieb.et Zucc.】

暖地の丘や山地に生えるハイノキ科の常緑低木または小高木(イラスト)。高さはときに数m以上になり,枝は褐色であるが,乾くと葉とともに黄色を帯びる。葉は互生し,狭卵形で長さ5cmあまり,先はとがり,縁に低い鋸歯があり,表面には光沢がある。花は5~6月ころ咲き,花柄は細長い。花冠は5深裂し,白色,おしべは多数。果実は卵形で,紫黒色に熟し,長さ1cmに達しない。近畿地方以西の本州と四国および九州に分布し,古い自然林内で群生しているところも多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ハイノキ
はいのき / 灰木
[学]Symplocos myrtacea Sieb. et Zucc.

ハイノキ科の常緑小高木。高さ5~10メートル。樹皮は滑らかで暗褐色、枝は暗赤褐色で細い。葉は互生し、狭卵形または卵形で長さ4~7センチメートル、先は尾状に長く伸び、縁(へり)に波状に浅く切れ込む鋸歯(きょし)がある。葉質はやや薄い革質で毛はなく、表面にすこしつやがあり、乾くと黄緑色になる。5月ころ、葉腋(ようえき)に散房状に総状花序をつくり、白色花を3~6個開く。花冠は深く5裂し、径1~1.2センチメートル、裂片とほぼ同じ長さの雄しべが多数あり、雌しべは1本。萼(がく)は5裂し、三角状卵形である。果実は狭卵形で長さ6~8ミリメートル、10月、紫黒色に熟す。山地に生え、近畿地方以西の本州から九州に分布する。名は、枝葉を焼いて灰をつくることによる。葉の灰分には、とくに酸化アルミニウムが多く、良質の灰汁(あく)がとれ、染色に利用する。枝は柔軟で強く、ねじって薪などを縛る。別名イノコシバともいうが、これは、イノシシを射止めたとき、この柴(しば)で足を縛って担ぎ帰ったことからついた。材は緻密(ちみつ)でやや堅く、器具、細工物にする。同属のクロバイも良質の灰汁がとれるので、ハイノキと称されることがある。
 ハイノキ属はアジア、オーストラリア、アメリカに約300種分布する。[小林義雄]

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