ハーマン(読み)はーまん(英語表記)Johann Georg Hamann

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ハーマン(Johann Georg Hamann)
はーまん
Johann Georg Hamann
(1730―1788)

ドイツの宗教的思想家。8月27日ケーニヒスベルク(現、ロシア領カリーニングラード)に生まれ、敬虔(けいけん)主義の雰囲気のなかで育った。故郷の大学で学んだが、学業を完成しないままに、家庭教師を経て、商社員としてロンドンに駐在した。仕事はうまくいかなかったが、聖書講義から深い感銘を受け、回心を体験した。1759年ケーニヒスベルクへ帰って病気の父の看病のかたわら、独自の文筆活動を始めた。一連の小冊子を発行し、その内容は、一人の敬虔なキリスト者の時代精神、とくに啓蒙(けいもう)主義との対決にあった。1767年以後は故郷に定住して、女中のシューマッハAnna Regina Schumacher(1736―1789)と「良心的自由の結婚」に入り、下級官吏を勤めた。1787年退職してミュンスターへ旅行し、帰途につこうとした1788年6月21日同地で没した。カントのほか、ヘルダー、M・メンデルスゾーン、F・ニコライ、F・H・ヤコービらと広い交友関係を保った。
 啓蒙思想の理性主義を批判して、感性的経験を重んじ、この立場に基づいて聖書を通して神の言の啓示から人間と世界、信仰と言語と救済の解明を試みた。その文体は、読者を二つの命題の間にたたせて、読者自身の認識によって言外の隠喩(いんゆ)的意味へと向かわせるといった独特の形をとる。19世紀以後、彼は、シュトゥルム・ウント・ドラング(疾風怒濤(どとう))の文学運動、敬虔主義の信仰覚醒(かくせい)運動の鼓舞者、ドイツ・ロマン主義の先駆者として、高く評価された。のみならず、キルケゴールも、自由主義神学者も、弁証法神学者も、それぞれの立場から彼の思想を高く評価し、神学的再評価の動きもみられる。[森田雄三郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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