ロシアの作曲家。ニジニー・ノブゴロド生まれ。幼少よりピアノを学び、モーツァルト研究で知られた地主ウルイブイシェフのもとで音楽への造詣(ぞうけい)を深めた。1855年数学を専攻していたカザン大学を退学、ペテルブルグに出てグリンカに会い、音楽家としての志を固める。60年前後ムソルグスキー、キュイらと「五人組(新ロシア楽派)」を結成してその指導的役割を果たし、ロシア国民音楽の形成と普及に尽力。62年には古典崇拝のペテルブルグ音楽院に対抗して無料音楽学校を開設、グループの作曲家の新作やベルリオーズ、シューマンら西欧作品紹介の演奏会を催すなど、ロシア音楽界に大きな影響を与えた。標題的・絵画的表現に優れたものがあり、またロシア民謡に強くひかれ、ボルガ川流域やカフカス地方を訪れて民謡を収集、その成果が作品の大きな糧(かて)となっている。主要作品にはピアノのための東洋風幻想曲『イスラメイ』(1869)や交響詩『タマーラ』(1867~82)などがある。
[益山典子]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 (社)全日本ピアノ指導者協会ピティナ・ピアノ曲事典(作曲者)について 情報
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