バルディーズ原則(読み)バルディーズげんそく

百科事典マイペディア 「バルディーズ原則」の意味・わかりやすい解説

バルディーズ原則【バルディーズげんそく】

1989年3月24日に米国アラスカ沖で座礁して米国史上最大規模の原油流出事故を起こした国際石油資本エクソン社の大型タンカー〈エクソン・バルディーズ号〉の名称を取って,〈環境に責任を持つ経済のための連合〉が設定した環境保全のための原則。その内容は,1.生物圏への有害物質放出削減し生物圏を保護する,2.天然資源の持続的な活用,3.エネルギーの有効な利用,4.廃棄物排出量の削減,5.地域住民や労働者にとっての環境・健康・安全上のリスク低減,6.安全な商品やサービスの提供,7.事故を起こした場合は十分に損害を賠償する,8.環境や健康上の危険に関する情報を公開する,9.環境問題担当の取締役および管理者を設置する,10.以上の各原則の実施状況について毎年,監査報告書を提出する――の10項目から成る。→環境監査
→関連項目海洋汚染

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バルディーズ原則」の意味・わかりやすい解説

バルディーズ原則
バルディーズげんそく
the Valdez principles

企業の環境倫理原則。 1989年3月にアメリカ,エクソン社のタンカー「バルディーズ号」がアラスカ湾沖で座礁し,大規模な原油流出によって大量の海生動物が死亡した事件を教訓として提唱された。アメリカの環境保護団体 CERES (Coalition for Environmentally Responsible Economies) によって 89年9月に公表された。企業とその株主は環境に対して直接的な責任を有し,企業の利潤追求は地球の健康状態と保全をそこなわない限度において行われるべきことを基本理念としている。具体的には生物圏の保護,天然資源の持続的な活用,廃棄物の処理と削減,エネルギーの効率的利用,地域社会や従業員に与えるリスクの低減,安全な商品やサービスの提供,損害賠償責任,情報公開,環境問題担当役員の設置,評価と年次監査の 10項目から成る。

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