アメリカの社会学者。ヒューマニスティックなスタイルをとるアプローチとパースペクティブ(人間論的視角)や現象学的社会学の視点などで知られる。ウィーンに生まれ、1946年以降はアメリカに在住した。ワグナー・カレッジで哲学を学び、ニューヨークにあるソーシャル・リサーチのためのニュー・スクールNew School for Social Researchの大学院では社会学を学び、学位を受ける。ジョージア大学で教職につき、のちに前記のニュー・スクールの大学院に奉職、1966年には教授となり1970年まで在職。ラトガース大学に移り社会学の教授。その後、ボストン大学の社会学の教授。1985年からは同大学の経済文化研究所Institute for the Study of Economic Culture(のちに文化・宗教・世界情勢研究所Institute on Culture, Religion, and World Affairsに改称)の所長を務めた。バーガーのアプローチと方法には、ニュー・スクールで師事した現象学的社会学で広く知られているA・シュッツの影響が強いが、社会学や哲学の広い視野で知識社会学、宗教社会学、比較社会学の領域を中心に人間に的を絞って社会的現実の多次元的研究が行われた。モダニティ(近代性)にも関心が深い。バーガーには実存の視点と社会学的人間学へのアプローチがみられ、社会学は意識の一形態としても理解されている。『社会学への招待』(1963)などがよく知られているが、共著を含めて著書が多い。
[山岸 健]
『P・L・バーガー、T・ルックマン著、山口節郎訳『日常世界の構成――アイデンティティと社会の弁証法』(1977・新曜社)』▽『P・L・バーガー、B・バーガー、H・ケルナー著、馬場伸也・高山真知子・馬場恭子訳『故郷喪失者たち――近代化と日常意識』(1977・新曜社)』▽『P・L・バーガー、B・バーガー著、安江孝司他訳『バーガー社会学』(1979・学習研究社)』▽『P・L・バーガー、H・ケルナー著、森下伸也訳『社会学再考――方法としての解釈』(1987・新曜社)』▽『P・L・バーガー著、水野節夫・村山研一訳『社会学への招待』(ちくま学芸文庫)』▽『P・L・バーガー著、薗田稔訳『聖なる天蓋――神聖世界の社会学』(ちくま学芸文庫)』
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