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宗教社会学 しゅうきょうしゃかいがくsociology of religion; Religionssoziologie

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

宗教社会学
しゅうきょうしゃかいがく
sociology of religion; Religionssoziologie

宗教と社会の関係を社会科学的に分析する学問。たとえば,最も重要な社会学者の一人 M.ウェーバーの社会学の中核となる領域も,宗教社会学である。彼は社会理論での,社会を発生的に考察しようとする場合,理念=宗教の役割を重視する。彼の宗教社会学での課題は,宗教が社会構造に対して,すなわち経済,支配,法秩序に対して,どのような影響を与えているかを明らかにすることにあった。つまり観念世界の巨大な形式の流れが,自然的諸条件,および経済的,社会的諸条件に即して分析されていくのである。こうした彼の分析方法の例としては,宗教の潜在性の機能がどのように他の領域に対して,その機能を果していくかを扱った『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 Die protestantische Ethik und der Geist des Kapitalismus (1904~05) が好個の例である。さらに,ウェーバー宗教社会学は,まさしく発生的観点において,世界の五大宗教 (儒教,道教,ヒンドゥー教,仏教,古代ユダヤ教) の社会構造に対してもつ潜在性の機能を追究している。人の宗教的行為は,現実には純粋個人の営みとして現れるというよりは,他者との心理的合一化,ときには対立,葛藤,これを媒介にした他者の支配,服従という社会過程として立ち現れる。宗教社会学は,まさにこの社会過程としての宗教現象を取扱う。

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デジタル大辞泉の解説

しゅうきょう‐しゃかいがく〔シユウケウシヤクワイガク〕【宗教社会学】

宗教現象を社会学的側面から研究する学問。宗教の社会的機能、宗教と他の社会制度との相互関係などを分析する。デュルケームマックス=ウェーバーによって確立された。

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世界大百科事典 第2版の解説

しゅうきょうしゃかいがく【宗教社会学 sociology of religion】

宗教的行為や宗教制度などの宗教的現象を社会学的方法論を用いて説明しようとする学問。学問の分野としては,宗教学と社会学の境界領域文化人類学社会人類学,社会心理学ととくに関係があり,宗教史,思想史,民族学民俗学,心理学,人文地理学とも関連する。宗教社会学は,19世紀後半に西ヨーロッパで成立した。そこには近代社会におけるキリスト教の位置と価値に対する再検討の必要性や,キリスト教以外の宗教への新しい認識の必要性に迫られたという背景がある。

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大辞林 第三版の解説

しゅうきょうしゃかいがく【宗教社会学】

宗教と一般社会との相互関係や宗教のもつ社会的諸側面から、宗教の構造や機能などを明らかにする学問。デュルケームとマックス=ウェーバーがその基礎を築いた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

宗教社会学
しゅうきょうしゃかいがく
sociology of religion

一般に宗教現象を社会学的視角から研究する特殊社会学の一部門とされているが、理論上、宗教の社会学的解明は社会統合を理解するうえで中心的な位置を与えられている。宗教と社会構造の関連に関する初期の優れた実証研究にはフュステル・ド・クーランジュの『古代都市』(1864)やW・R・スミスの『セム族の宗教』(1889)があるが、宗教社会学の基礎を築いたのは、フランスのE・デュルケームとドイツのM・ウェーバーという社会学の巨匠である。
 両者は研究の視角や方法においてかなり異なっているが、非合理的要素よりも合理的要素を社会の統合原理とする傾向の強かった当時の一般思潮のなかで、非合理的要素(宗教)を社会統合の重要な基礎としての意味をもつものであると指摘した点で一致している。この点について、デュルケームは『宗教生活の原初形態』(1912)の分析によって明らかにしている。彼の研究は後の人類学の宗教研究の展開に大きな影響を与えた。とくにイギリスのA・R・ラドクリフ・ブラウンやB・マリノフスキーなどによる宗教の社会的連帯強化の機能や宗教の日常生活における機能の研究の基礎となった。ウェーバーは、西欧における近代資本主義の発生が新しい価値観(エートス)の形成によるものであり、この価値観の樹立に非合理的要素としての宗教が、その基盤として関与していることを『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(1904~05)の研究によって解明した。彼はこの問題を比較社会学的な『世界宗教と経済倫理』(1915~20)の研究に展開させ、宗教社会学に必要な多くの視点や概念を明確にした。こうした研究は、伝統社会の近代化と宗教との関係を解明しようとする近年の諸研究のモデルとなった。アメリカのR・N・ベラーによる『日本近代化と宗教倫理』(1957)の研究も、その一例である。
 デュルケームとウェーバーの視点は、近年さらに広い視野から再評価され、アメリカのT・パーソンズは、社会生活を内面的に支える価値観を意味のうえで根拠づけるものとして宗教を位置づけ、現象学的社会学の影響を受けているP・L・バーガーやT・ルックマンは、社会秩序を究極的に意味づける宗教の役割解明を試みている。またドイツ社会学の流れをくむE・トレルチやJ・ワッハによる宗教集団の類型の研究もある。とくに後者による自然集団(家族、村落、民族)と宗教集団が一致している合致的宗教集団や開祖による創唱的特殊宗教集団の区分は、宗教集団類型の基準となっている。このほか、宗教と社会の関係解明のために多角的に多方面にわたる研究が行われている。このような諸研究は理論や方法のうえで、いまだ十分に整理されてはいないが、今日では宗教の社会学的研究は、社会の存続と発展の基本的性質の理解を深めるのに重要な意味をもつとの観点から盛んに行われている。[口羽益生]
『M・ウェーバー著、武藤一雄・薗田宗人・薗田坦訳『宗教社会学』(1976・創文社) ▽T・オディ著、宗像巌訳『現代社会学入門5 宗教社会学』(1968・至誠堂) ▽P・L・バーガー著、薗田稔訳『聖なる天蓋――神聖世界の社会学』(1979・新曜社)』

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世界大百科事典内の宗教社会学の言及

【宗教学】より

…また宗教の比較は当然のこと宗教の歴史への関心を内包しており,そこから歴史学や考古学の成果をとり入れた宗教史学の立場(たとえばC.P.ティーレ,N.ゼーデルブロム)が追求されることになった。他方,19世紀にいたり社会学や心理学が新たに勃興すると,それが宗教研究にも刺激を与え宗教社会学(たとえばM.ウェーバー,É.デュルケーム)や宗教心理学(たとえばE.D.スターバック)の研究分野がひらかれた。またとくに近代にいたり,世界各地の植民地において数多くの未開宗教に関する調査資料が集められるようになると,そこから民族学=人類学(たとえばJ.G.フレーザー)の方法による部族宗教の研究(宗教人類学)が盛んになった。…

【デュルケーム】より

…とくにその自殺研究はデータとしてヨーロッパ各国の自殺統計を大規模に用いており,この種の経験的社会学研究の古典として今日なお高く評価されている。また,晩年の一大業績である宗教研究は,宗教がすぐれて社会的事象であることをアボリジニーのトーテミズムに即して明らかにしたもので,その後の宗教社会学の発展に大きな寄与をなした。 しかし,デュルケームの諸研究が単に方法的関心ばかりでなく,時代の投げかけてくる課題にこたえようとする実践的関心にもみちびかれていたことは見逃されてはならない。…

※「宗教社会学」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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