日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒツジグサ」の意味・わかりやすい解説
ヒツジグサ
ひつじぐさ / 未草
[学] Nymphaea tetragona Georgi var. angusta Casp.
スイレン科(APG分類:スイレン科)の多年生水草。日本に野生する唯一のスイレンである。葉は楕円(だえん)形で基部は深く切れ込み、水面に浮かぶ。夏、水面上に白色花を開く。花冠は径3~5センチメートル、多数の花弁がある。名は、未(ひつじ)の刻(午後2時ころ)に開花するとしてつけられたが、実際は午前中に開花する。池沼、川に生え、本州、九州に分布する。基本種エゾノヒツジグサは北海道および東アジア、シベリア、ヨーロッパに分布し、葉の切れ込みは深く、花弁の幅は広いが、ヒツジグサと明確には区別できない。
[伊藤元巳 2018年6月19日]