ピグマリオン(ギリシア神話)(読み)ぴぐまりおん(英語表記)Pygmalion

翻訳|Pygmalion

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

ピグマリオン(ギリシア神話)
ぴぐまりおん
Pygmalion

ギリシア神話キプロスの王。象牙(ぞうげ)でつくった女の像に恋をしてしまったピグマリオンは、アフロディテに祈ってその像に生命を与えてもらう。そして生きた人間の女となったその彫像との間に娘パフォスをもうけた。パフォスは、アフロディテ信仰で有名なキプロスの都市パフォスの創建に関連する人物であり、キプロスのあらゆる文化の移入者・創始者であるキニラスの母とする説もある。またアポロドロスによれば、ピグマリオンの娘メタルメの婿がキニラスであるという。ピグマリオンと彫像の女の話は、とくにオウィディウスの『転身譜』で広く知られた。なお、同名異人にシリアのティロス王ピグマリオンがおり、彼は妹ディドの夫を殺して財産を奪ったという。これはウェルギリウスの『アエネイス』で扱われている伝説である。

[伊藤照夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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