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フィロクテテス Philoktētēs

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

フィロクテテス
Philoktētēs

ギリシア神話の人物。ポイアスの息子。オイテ山に築かれたヘラクレスの火葬壇に火をつけることを引受けた返礼に,ヘラクレスから弓矢を与えられ,弓矢の名手となった。トロイ遠征に参加したが,途中,へびに咬まれて傷つき,腐臭を発するようになったためレムノス島に置去られた。しかしギリシア軍ヘレノスの予言からヘラクレスの弓矢の加勢がなければトロイ攻略は成功しないと知らされたので,フィロクテテスはオデュッセウスらによってトロイに連れてこられ,傷の手当てを受けたのち,パリスをはじめ敵方の多くを射てトロイ攻略に貢献したとされる。

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百科事典マイペディアの解説

フィロクテテス

ギリシア伝説の英雄で弓の名手。トロイアへの途上,蛇にかまれて,レムノス島に置き去りにされるが,10年後,彼のもつヘラクレスの弓が必要になったギリシア軍は強引に戦列に復帰させる。

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世界大百科事典 第2版の解説

フィロクテテス【Philoktētēs】

ギリシア伝説の英雄。ヘラクレスの遺品の弓矢を所持する弓の名手。トロイア戦争の際,彼は7隻の軍船を率いて敵地に向かったが,途中,テネドス島で毒蛇に足をかまれ,その傷が化膿してひどい悪臭を放つに至ったため,ひとりレムノス島に置き去りにされた。しかし10年後,捕虜となった敵の予言者ヘレノスHelenosから,トロイアはヘラクレスの弓なくしては陥落しない定めにあると聞き及んだギリシア軍は,オデュッセウスとディオメデス(またはアキレウスの遺子ネオプトレモス)をレムノス島に派遣,二人に伴われてトロイアに着いたフィロクテテスは,まず名医マカオンMachaōnに傷をいやされたあと,戦争の原因をつくった敵将パリスを射殺したという。

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大辞林 第三版の解説

フィロクテテス【Philoktētēs】

ギリシャ神話の英雄。ヘラクレスの弓矢をもつ弓の名手。トロイア遠征に向かう途中毒蛇にかまれレームノス島に一人置き去りにされたが、10年後ギリシャ軍によって連れ戻され、トロイア王子パリスを射殺した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

フィロクテテス
ふぃろくててす
Philoktetes

ギリシア神話の英雄。弓の名手として有名なフィロクテテスは、ヘラクレスの死に際(ぎわ)になにかと親切にしてやった礼として、その弓とヒドラの毒を塗った矢とをヘラクレスから授かった。フィロクテテスは、トロヤ遠征へ向かう途中毒蛇にかまれ、その傷と痛みの激しさから先を急ぐ遠征軍の一行にレムノス島に置き去りにされ、そこで9年間わびしく生き長らえた。トロヤ戦争も10年目となったとき、預言者ヘレノスから、ヘラクレスの弓がなければトロヤは陥落しないと聞いたギリシア軍は、オデュッセウスとディオメデス(またはネオプトレモス)をレムノスに派遣してフィロクテテスを迎えに行った。曲折を経たのち、トロヤに着いて名医マカオンの治療により傷も全快した彼は、ヘラクレスの弓と矢でパリスを射殺し、トロヤ陥落のきっかけをつくった。なお、ソフォクレスの悲劇『フィロクテテス』では、フィロクテテスを欺いてヘラクレスの弓だけを取ってくるはずであったが、その悲惨なありさまに同情したネオプトレモスがいっさいを白状し、激怒したフィロクテテスも結局は和解してトロヤに同行することになる。イタリアの南部地方には、このフィロクテテスを崇拝の対象としていた地域があったという。[伊藤照夫]

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世界大百科事典内のフィロクテテスの言及

【トロイア戦争】より

…これを知ったメネラオスは,兄であるミュケナイ王アガメムノンと謀り,全ギリシアの英雄をアウリスの港に結集し,遠征の途につく。出航に際しては,エウリピデスが《アウリスのイフィゲネイア》で語るように,総大将アガメムノンがアルテミスの怒りを被り,愛娘を犠牲に供することで,やっと順風を得ることができたり,航海途上で毒蛇にかまれて悪臭を放つ英雄フィロクテテスを,レムノス島に置去りにしたりするエピソードがある。 トロイアの地に上陸したギリシア軍は,船を陸に引き上げて城の前に船陣を築き,攻防戦は10年に及ぶ。…

※「フィロクテテス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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