フウトウカズラ(読み)ふうとうかずら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「フウトウカズラ」の意味・わかりやすい解説

フウトウカズラ
ふうとうかずら / 風藤葛
[学] Piper kadsura (Chois.) Ohwi
Piper kadzura (Chois.) Ohwi

コショウ科(APG分類:コショウ科)の藤本(とうほん)(つる植物)。香辛料としてよく知られているコショウの近縁種である。葉は互生し、卵形で全縁、革質で、芳香がある。雌雄異株。5~6月、穂状花序をつくり、小花を密生する。花穂は黄白色で垂れ下がり、長さ約5~15センチメートル。包葉は盾状。雄花は3本の雄しべ雌花は1本の雌しべからなる。柱頭は3~5裂し、子房球形。子房の基部周囲には、雄しべの痕跡(こんせき)が3個ある。果実は球形で径4~5ミリメートル、外果皮は肉質、冬から翌春に赤く熟す。果実にコショウのような辛味はない。海岸近くの林に生え、関東地方南部以西の本州から沖縄、伊豆諸島、小笠原諸島および朝鮮半島、中国大陸南東部、台湾に分布する。同属のヒハツモドキP. retrofractum Vahlは、沖縄で香辛料として栽培される。

[大森雄治 2018年7月20日]

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百科事典マイペディア 「フウトウカズラ」の意味・わかりやすい解説

フウトウカズラ

コショウ科の常緑木性つる植物。本州(関東以西)〜沖縄,東アジアの海に近い林内にはえる。茎は樹幹や岩上をはい節から根をおろす。葉は卵形で互生。雌雄異株。5〜6月茎の先から長さ3〜8cmの花穂を下垂し,小さな黄色花を密につける。花被はない。果実は球形で赤熟する。

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世界大百科事典(旧版)内のフウトウカズラの言及

【コショウ(胡椒)】より

…精油やアルカロイドを含み,キンマやヒハツのように薬用にされる種も多い。日本には,つる性常緑草本のフウトウカズラP.kadzura (Chois.) Ohwiが関東地方以南の暖地に分布している。またサダソウ属Peperomiaのいくつかの種はペペロミアの名称で観葉植物として多く栽培されている。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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