福井県勝山(かつやま)市北谷(きただに)に分布する白亜紀前期、約1億4000万年~1億3700万年前の地層から産する恐竜。竜盤目獣脚類(亜目)テタヌラ類(下目)鳥獣脚類Avetheropodaカルノサウルス類Carnosauriaの新属新種を代表するものとして2000年に記載された。属種名はフクイラプトル・キタダニエンシスで、命名者は福井県立恐竜博物館の東洋一(あずまよういち)(1949― )とカナダのロイヤル・ティレル古生物学博物館のフィリップ・カリーPhilip J. Currie(1949― )。雑誌『カナディアン・ジャーナル・オブ・アース・サイエンシズ』Canadian Journal of Earth Sciences37号に掲載された。これは、かつて俗称キタダニリュウとよばれていた材料に基づくものである。未成熟標本で、全長約4.2メートル、推定体重175キログラム。全体として化石の保存状態はかなりよく、頭骨・脊椎(せきつい)・前肢・後肢などが含まれている。手が大きく、曲がった鋭いつめを備え、生きていたときには活発な捕食者であったことが示唆される。未記載の段階でキタダニリュウとよばれていたころには、この手のつめが足指の鉤(かぎ)づめと誤解されたことがあって、ドロマエオサウルス類ではないかといわれたりした。110に及ぶ形質の分岐分析の結果によって、フクイラプトルは肉食恐竜アロサウルス類の基底となった型を示すものと判明した。上腕骨と尺骨(しゃくこつ)が細く長く、コムプソグナトゥス類やティラノサウルス類以外の大部分のコエルロサウルス類のものに似ている。手のつめがよく発達していて、とくに第1指のつめはドロマエオサウルス類やオビラプトル類、アロサウルスAllosaurusのように、大きなつめをもった種類と比較できる。足首には、カルノサウルス類とコエルロサウルス類との中間ほどの高い隆起があり、足の趾骨(しこつ)が特殊化していないなども特徴にあげられる。オーストラリア産の距骨(きょこつ)との比較から、南半球に類縁種がいたであろうと示唆されている。アクロカントサウルスAcrocanthosaurusやアロサウルス、シンラプトルSinraptorなどが類縁。足跡化石を除くと、第二次世界大戦後の日本で最初に記載された恐竜の新属種である。
[小畠郁生]
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