アロサウルス(読み)あろさうるす(英語表記)allosaur

日本大百科全書(ニッポニカ) 「アロサウルス」の意味・わかりやすい解説

アロサウルス
あろさうるす
allosaur
[学] Allosaurus fragilis

北アメリカのジュラ紀後期、約1億5600万年~1億4600万年前の地層から産出した二本肢(あし)の凶暴な性格の肉食恐竜。分類学上は竜盤目獣脚類(亜目)テタヌラ類(下目)鳥獣脚類Avetheropodaカルノサウルス類Carnosauriaアロサウルス上科Allosauroideaアロサウルス科Allosauridaeに属する。全長約10メートル、体重2トンと推定される。長い尾は全長の半分以上にも達し、体のつり合いを保っている。骨の数は425個以上に達する。手の指は3本、足の指は4本あって、ともに鋭いつめをもつ。歯も鋭利で、この歯でかまれたと思われる歯型が草食恐竜である竜脚類の尾骨につけられていたり、竜脚類の一連足跡の上に踏み込んだようにつけられたアロサウルスの足跡が発見されたりした。連続足跡からの計算では、走る速度は時速30キロメートルともいわれる。最初に尾椎(びつい)の一部がみつかり、アントロデムス・バレンスAntrodemus valensと命名されたが、発掘場所が明瞭(めいりょう)でなく、あまりに断片的で種の特定が困難なため、学者はアントロデムスの名を使わなくなった。しかし命名規約上はアントロデムスのほうに先取権がある。東京都上野の国立科学博物館や鹿児島市の文化センターなどに全身骨格が展示されている。ともに、小川勇吉(ゆうきち)(1888―1972)がアメリカ産の化石を寄贈したものである。小川は三重県出身で、ロサンゼルスで日本語学校教師やホテル経営などをしていたが、たまたま帰国した際に科学博物館を訪れ、日本に恐竜の化石が1体もないことに気づいた(当時74歳)。1960年からユタ州のクリーブランド・ロイド採掘場で「ユタ大学恐竜発掘計画」(資金提供をした国の博物館に全身骨格を1体ずつ配る計画)が実施されることを知り、日本の子供たちに見せるために恐竜1体分の発掘・輸送・組立て費用として基金を寄付した。これにより、1964年(昭和39)4月14日から12日間にわたりアロサウルスの専門家ジェームズ・マドセンJames H. Madsen Jr.が主となって組み立てたものが、日本で組み立てられた最初の恐竜であった。

[小畠郁生]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「アロサウルス」の意味・わかりやすい解説

アロサウルス
Allosaurus

ジュラ紀後期に生息した肉食恐竜の一属。爬虫類竜盤目獣脚亜目アロサウルス科に属する。頭は大きく,鋭い歯をもつ。前肢は非常に小さく,第4,5指は縮小し,大きな爪をもつ。後肢の第2,3,4の3指が大きく機能的である。体長約 10m。北アメリカと東アフリカタンガニーカなどで化石が発見されている。アントロデムスは同義名。

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