プライマリーストラクチャーズ(その他表記)Primary Structures

改訂新版 世界大百科事典 の解説

プライマリー・ストラクチャーズ
Primary Structures

1960年代後半から70年代初頭にかけてアメリカで制作された,幾何学的な基本形体から成る彫刻のこと。〈基本構造〉の意。66年にニューヨークのジューイッシュ美術館で開かれたマックシャインKynaston McShineの企画による〈プライマリー・ストラクチャーズ--アメリカとイギリスの若い彫刻家〉展が名称の起り。素材は金属,木材などのほかにプレクシグラス,ステンレスプラスチックなどの工業用素材も使われる。制作も,作家は図面を引くだけであとは発注によることも多い。狭義では上記の展覧会を指すが,広義ではミニマル・アートからコンセプチュアル・アートにかけての動向中の立体造形(彫刻)を指す。代表的作家は,カロAnthony Caro(1924- ),ジャッドDonald Judd(1928-94),ルウィットSol LeWitt(1928-2007),モリスRobert Morris(1931- ),キングPhilip King(1934- ),グローブナーRobert Grosvenor(1937- )ら。
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百科事典マイペディア の解説

プライマリー・ストラクチャーズ

1966年,ニューヨークのジューイッシュ美術館で開催された彫刻展の名称から始まった用語。〈基本的構造体〉という意味が示すように,大規模・抽象的・単純な形態アルミニウムやステンレス・スチールなどの工業用金属素材,単純な彩色を特徴とする。従来の彫刻作品のもつ重量感と触覚性を排除し,ミニマル・アートに近い視覚性を彫刻の側から追求した傾向を指す。その先駆となったのはイギリスのカロであるが,アメリカではミニマル・アートのジャッドカールアンドレ〔1935-〕らも含まれていた。ただし,一定の拡がりの空間そのものを構造化し,周囲の環境に影響を及ぼす開放性をもっているという点で,求心的なミニマル・アートとは区別される。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

プライマリー・ストラクチャーズ
primary structures

現代美術用語。 1960年代の後半にアメリカで生れた現代彫刻の動向。工業用素材と角柱立方体など幾何学的な基本形体を用いる彫刻をさす。 66年にニューヨークのジューイッシュ美術館で開かれた同名の展覧会が最初。「基本構造」などと訳され,スケールが大きく,彩色されているのが特色。これらの彫刻家の一部はアースワーク,あるいはミニマル・アートへ向ったことで注目される。

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