ジャッド(読み)じゃっど(英語表記)Donald Judd

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ジャッド」の意味・わかりやすい解説

ジャッド
Judd, Charles Hubbard

[生]1873.2.20. バレーリ
[没]1946.7.18. カリフォルニア,サンタバーバラ
インド生れのアメリカの心理学者,教育学者。教育問題の解決に科学的研究方法を応用した先覚者。 1879年渡米,コネティカット州ミドルトンのウェスリーアン大学を経て,ライプチヒ大学の W.ブントの下で実験心理学を学び,96年に博士号を取得。アメリカの諸大学で哲学,心理学を講じ,1907~09年エール大学心理実験室主任。 09年アメリカ心理学会会長に選出された。 09~38年シカゴ大学教授,教育学部長に就任。多くの調査研究の組織,指導,各種の雑誌,研究論文の編集に従事し,著作,講演,政府機関の委員活動などを通じて,あらゆる段階の教育に広範な指導性と影響力を発揮した。主著『科学的教育研究入門』 Introduction to the Scientific Study of Education (1918) ,『社会制度の心理学』 Psychology of Social Institutions (26) ,『教育心理学』 Educational Psychology (39) 。

ジャッド
Judd, Donald

[生]1928.6.3. ミズーリ,エクセルシオールスプリングズ
[没]1994.2.12. ニューヨーク
アメリカの美術家。アート・スチューデンツ・リーグ,コロンビア大学などで学ぶ。 1953年ニューヨークに移住。 1950年代後半より批評家として活躍する一方抽象表現主義風なスタイルの絵画を描いたが,1962年から絵画のもつイリュージョニスムを否定して立体に向かった。単純な形態反復して並べることを特色とし,ミニマル・アート典型と目されたが,みずからは自作彫刻と呼ばず「特殊な物体」と呼んで,それが絵画,彫刻と無縁であることを強調した。しかし,立体ではあるが視覚を重視している点で,彫刻よりも絵画とのつながりを感じさせる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ジャッド」の意味・わかりやすい解説

ジャッド
じゃっど
Donald Judd
(1928―1994)

アメリカの彫刻家。ミズーリ州エクセルシアー・スプリングスに生まれ、コロンビア大学で哲学、美術史を学ぶ。美術批評に手を染めた時期もあるが、1950年代末から彫刻を発表し、1966年ころから「ミニマル・アート」「プライマリー・ストラクチュア」の傾向に属する代表的な造形作家として注目を集めた。抽象的作風であるが、幾何学的形態を単純化して最小限度の基本的構造に還元し、また同一単位の立方体を反復・並列して展示するなど、その立体造形にはサイズの大きなものが多い。

[石崎浩一郎]

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