日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘイマーケット事件」の意味・わかりやすい解説
ヘイマーケット事件
へいまーけっとじけん
1886年シカゴで起こったアメリカ労働運動史上の事件。同年5月1日、8時間労働を求めるアメリカ労働者のストライキとデモは、シカゴにおいて最大の盛り上がりをみせたが、その直後の3日マッコーミック収穫機会社のストライキ労働者4名が警官により殺される事件が起こった。アナキストの呼びかけにより、4日夜ヘイマーケットHaymarket広場で抗議集会が催されたが、警官隊が解散を命じたとき、何者かが爆弾を投じ、衝突のすえ多数の死傷者(死者は警官7名、労働者4名)が出た。騒然たる雰囲気のなかで8名のアナキストが裁判にかけられ、1名は獄中で自殺し、4名が絞首刑になった。のちイリノイ州知事オルトゲルドJ.P.Altgeldは裁判が不当であったとして、残る禁錮の3名を恩赦した。事件は8時間労働運動にとって打撃となったが、89年第二インターナショナルは、事件の記憶をも含めてアメリカ労働者の偉大な闘争を記念して、5月1日を労働者の国際的連帯の日と定め、これがメーデーの起源となった。
[野村達朗]