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ヘビトンボ Protohermes grandis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ヘビトンボ
Protohermes grandis

ヘビトンボ目ヘビトンボ科。体長 35mm内外,前翅長 45~60mm。体は黄褐色で,前胸両側と後頭部両側に黒褐色縦条がある。頭部は大きくかつ平たい。頬が強くふくらむ。複眼は小さめで,突出する。触角は糸状で短く,前胸は細長い。翅は広大で長卵形,半透明で,暗黄色の翅脈が多く,前翅に6~7個,後翅に2~3個の不明瞭な円形黄色斑があり,斑紋部の翅脈は鮮黄色である。成虫は夏季出現し,夜行性で灯火に集り,昼間は水辺の石や樹幹などに静止する。北海道,本州,四国,九州,台湾,中国,朝鮮などに分布する。なお,ヘビトンボ科 Corydalidaeは大型種から成り,体は軟らかく,強力な大顎をもつ。3個の単眼をもち,肢の 跗節の第4節は単純な円筒状となる。幼虫は「孫太郎虫」と呼ばれ,川の中にすみ,他の水生昆虫類の幼虫などを捕食する。大型で細長く,8対の腹鰓と1対の鉤状尾脚をもつが尾糸はない。薬用にされ,また釣餌としても用いられる。幼虫,成虫のみならずも強大な大顎をもち,咬まれるとけがをするほどである。成虫は灯火に飛来することが多い。 (→ヘビトンボ類 )  

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百科事典マイペディアの解説

ヘビトンボ

脈翅(みゃくし)類ヘビトンボ科の昆虫の1種。日本全土,朝鮮,中国,台湾に分布。体長40mm,開張100mm内外。体は暗黄色,翅は暗灰色半透明で数個の不明瞭な円形黄色紋がある。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ヘビトンボ
へびとんぼ / 蛇蜻蛉
[学]Protohermes grandis

昆虫綱脈翅(みゃくし)目ヘビトンボ科に属する昆虫。山地から平地にかけての渓流に依存する大形の、ややトンボを思わせる特異的昆虫。幼虫は川の中にすみ、マゴタロウムシ(孫太郎虫)とよばれる。成虫の体長は約40ミリメートル、前翅の開張約10センチメートル。体は太く、やや扁平(へんぺい)、色彩は暗黄色ないし黄褐色。頭部は大きく平たい。触角は糸状で多節。相対的に小さい複眼は左右に突き出、両眼の中間点に3個の単眼が目だつ。また、鋭い大あごが前方へ突き出している。後頭部両側に大小4個の黒褐紋がある。前胸は円筒状、頭部よりやや幅が狭く、両側に黒褐条がある。中・後胸は短め。はねは一般の脈翅目に比べて広大で、太い翅脈が粗くみられる。静止時、両翅は腹部上に緩く重ねるか屋根形に置く。前・後翅とも半透明で、翅脈は暗黄色で、根元などは一部分が黄色、また前翅に6~7個、後翅に2~3個の比較的大きい黄色円形紋がある。脚(あし)はいずれも細めの歩行肢で黄褐色。腹部は暗褐色、雄では尾端部に1対の付属器をもつ。成虫は6~8月に現れ、日中は水辺の木の幹などに止まっているが、夕暮れから活動を始め、灯火にも飛んでくる。ひらひらと飛ぶ飛び方で、トンボとは名ばかりである。
 ヘビトンボの名は、これを捕まえると頭胸部をヘビのように動かし、かみついてくることによる。幼虫は扁平の幅広の体で、6センチメートルほどにまで成長する。頭胸部は赤褐色で硬化しているが、腹部はやや暗色で、淡く紫色を帯びるが、筋肉質である。腹部の両側には擬足のような肉質突起が水平に突き出、その基部に叢(そう)状の気管鰓(さい)がある。幼虫はもっぱら川底の石下にへばりついて生活し、ほかの水生動物を捕食する。北海道から九州までの各地に普通にみられ、また朝鮮半島、中国、台湾にも分布する。
 ヘビトンボ科Corydalidaeは、センブリ類などとともに広翅亜目に属する。大形または中形の昆虫を含み、はねの幅が広い。3個の単眼をもち、脚の第4(ふせつ)は単純な細い円筒形である。成・幼虫ともに肉食性。また、幼虫は流水性で、成長に数年を要する。蛹化(ようか)直前に上陸し、水辺の石下や倒木下などに小室をつくって蛹(さなぎ)になる。蛹はかなり活動でき、2~3週間後には羽化する。日本産のものはヘビトンボのほかに、クロスジヘビトンボParachauliodes continentalis、ヤマトクロスジヘビトンボP. japonicusがよく知られ、対馬(つしま)、琉球(りゅうきゅう)諸島に別種がいる。[山崎柄根]

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