イタリア北部,ロンバルディア州の同名県の県都。人口11万6197(2005)。ミラノの北東59km,アルプス山系とポー平原の境界の丘陵地域に位置している。標高366mの丘の上にある,16世紀の城壁に囲まれた〈上の町〉と,その南東部のふもとに広がる〈下の町〉(標高244m)の二つの部分からなり,今日,経済活動は近代化の進んだ〈下の町〉に移っており,かつての中心地域であった〈上の町〉は,古い町並みと重要な建造物,教会がそのまま保存された区域となっている。エトルリア人,次いでガリア人の集落として始まったこの都市は,中世に背後の山や谷の資源と平野の生産物との交易の場として,その後,鉄,武器の生産地として発達し,自由都市となった11世紀以後には,繊維・商業・金融面で経済的な発展をみせた。14世紀にミラノのビスコンティ家の支配に入ったが,1428年にはベネチア共和国に組み入れられ,ミラノに対する軍事的拠点としての意味を担った。18世紀末にベネチアが滅亡するまで続いたその支配は,このロンバルディアの都市に多くのベネチアの影響をもたらした。またベネチアによって絹織物業が推進された。今日では繊維産業のほかに,金属,機械,化学,印刷,セメントなどさまざまな工業が立地しているが,ミラノの資本によるものも多く,反面,この地域はミラノへの通勤圏にもなっており,ミラノ経済圏との関係はますます強くなってきている。中世およびベネチア支配時代の都市の構造をそのままに残す〈上の町〉には,ベネチア風の商人,貴族の館もみられ,12世紀に建てられた市庁舎や,サンタ・マリア・マッジョーレ教会,華麗なファサードで有名なコレオーニ礼拝堂などがある。コメディア・デラルテと呼ばれる仮面劇はこの都市で16世紀に生まれ,また作曲家ドニゼッティの故郷でもある。
執筆者:萩原 愛一
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イタリア北西部、ロンバルディア州ベルガモ県の県都。人口11万0691(2001国勢調査速報値)。オロビエ・アルプス山脈の南麓(なんろく)、ミラノ北東59キロメートルに位置する。丘上の旧市街と平野部の新市街からなる。前者にはサンタ・マリア・マッジョーレ教会(12世紀)やラジョーネ宮殿(12世紀)があるが、19世紀以降、経済活動の重心は後者に移った。繊維、機械、セメント、化学、薬品、食品など多方面の工業活動が営まれる。絹織物には16世紀以来の伝統がある。
[堺 憲一]
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