ベンガル語(読み)ベンガルご(英語表記)Bengali

翻訳|Bengali

精選版 日本国語大辞典 「ベンガル語」の意味・読み・例文・類語

ベンガル‐ご【ベンガル語】

〘名〙 インド‐ヨーロッパ語族インド‐イラン語派インド‐アーリア諸語の一つ。バングラデシュの国語、インド、西ベンガル州公用語インド系文字であるベンガル文字で表記される。

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改訂新版 世界大百科事典 「ベンガル語」の意味・わかりやすい解説

ベンガル語 (ベンガルご)
Bengali

ベンガル人自身はバングラ・バシャBānglā-bhāṣāといい,現在バングラデシュ人民共和国の国語,またインドの西ベンガル州の公用語として約1億4000万の人々に使用されている。インド・ヨーロッパ語族インド語派(インド・アーリヤ諸語)の東部言語群に属するが,形成期にムンダ,ドラビダ,モンゴル系統の言語の影響を受け,さらにサンスクリットアラビア語ペルシア語ポルトガル語,フランス語,英語などからの借用語彙を多く含んでいる。歴史的には初期ベンガル語(8~12世紀),中期ベンガル語(13~18世紀),現代ベンガル語(18世紀以降)と3期に分けて考えられるが,現代語は東西二大方言に分かれ,さらにそれぞれがいくつかの下位方言に分かれる。ベンガル文字は北インドのブラーフミー文字から発達してきており,母音または子音(群)と母音との結合からなる音節文字である。主として公文書や文学作品,論文,新聞,雑誌などに用いられる文語体と,会話や手紙などに用いられる口語体の二つの形式からなり,口語体は,カルカッタ市(現,コルカタ市)定住のベンガル人の日常会話体が一応標準形式とされている。現存する最古の文献は10世紀中葉の宗教詩で,初期,中期とも文学作品はすべて韻文である。散文は17世紀後半から現れるが,東洋人で最初にノーベル文学賞を受賞したタゴールをはじめ数多くのすぐれた文人がおり,世界でも最も豊かな文学をもつ言語の一つである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベンガル語」の意味・わかりやすい解説

ベンガル語
べんがるご
Bengali

インド・ヨーロッパ語族インド・イラン語派に属するアーリア諸語の一つで、アッサム語、オリア語などとともに東部語群を形成する。現在バングラデシュの国語となっており、インド西ベンガル州、マニプル州トリプラ州等の公用語でもあり、約1億5000万人の使用人口をもつ。ベンガル語には文語形口語形の二形式があるが、コルカタ(カルカッタ)市に定住するベンガル人中流家庭の日常会話体が口語形式の、またアジア人最初のノーベル文学賞受賞者であるラベンドラナート・タゴール(1913年受賞)の作品の文章体が文語形式の標準形と考えられている。

 ベンガル文字は、他のインド諸言語の文字と同様ブラーフミー文字の系統に属し、一字が一母音、ないし子音(群)と母音の結合を表す音節文字である。ベンガル語発達の歴史をみると、まずマーガディー・アパブランシャ語がアバハッタ語の影響を受けつつ8世紀中葉に初期ベンガル語として成立し、13世紀から18世紀にかけて成長する中期ベンガル語の過程を経て、19世紀以降現代ベンガル語の形態をとるに至っている。形成期にはムンダ諸語やドラビダ諸語の影響を受け、成長の過程ではサンスクリット語、アラビア語、ペルシア語、ポルトガル語、英語などから多くの語彙を借用している。現存最古のベンガル語文献は10世紀中葉の宗教詩『チャリア・ギータ』で、初期・中期の文献もみな韻文で書かれ、散文が初めて現れるのは17世紀後半になってからである。

[奈良 毅]

『S. K. ChatterjiThe Origin and Development of the Bengali Language, 3 vols. (1970, George Allen & Unwin Ltd., London)』

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世界の主要言語がわかる事典 「ベンガル語」の解説

ベンガルご【ベンガル語】

インドヨーロッパ語族インド語派に属する言語。バングラデシュの国語、インドの西ベンガル州とトリプラ州の公用語で、話者数は2億2000万人。プラークリットを継承して生まれ、インド東部に広がった言語で、最古の文献は10世紀半ばの宗教詩だが17世紀以降は散文も発達、豊かな文学的伝統をもつ。1913年にはタゴールがベンガル語の詩でノーベル賞(文学賞)を受賞した。表記にはブラーフミー文字から派生したベンガル文字を使う。1947年のインド・パキスタンの分離独立後、ベンガル語を話す東パキスタンでウルドゥー語が強制されたため、ベンガル語の公用語化を求める運動が展開され、1971年のバングラデシュの独立につながった。このデモで犠牲者が出た(1952年)2月21日を、ユネスコは1999年から「国際母語デー」としている。◇英語でBengali。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ベンガル語」の解説

ベンガル語(ベンガルご)
Bengali

インド亜大陸のベンガル地方で用いられる言葉。現在バングラデシュの国語で,インドの公用語の一つ。ベンガル語では「バングラ」という。インド・ヨーロッパ語族インド語派に属し,オリヤー語,アッサム語などと近い関係にある。歴史は8世紀にまでさかのぼるが,ベンガル語の特徴が出そろったのは13世紀である。1800年頃から現代ベンガル語の発達が始まった。語彙にはサンスクリットペルシア語,ポルトガル語などからの借用語を多く含む。文字はブラーフミー文字から発達したもの。豊かな文学的伝統を持ち,タゴールは代表者の一人である。

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百科事典マイペディア 「ベンガル語」の意味・わかりやすい解説

ベンガル語【ベンガルご】

インド・ヨーロッパ語族のインド語派に属する近代インド語の一つ。ベンガリー語とも。ベンガル地方一帯に話され,東西2方言がある。近代インド・イラン語派中最古の文献をもち,15世紀からはすぐれた文学が多い。19世紀の英国人宣教師による聖書訳やタゴールの作品で知られる。話し手の数は約7600万人。→ベンガル[人]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベンガル語」の意味・わかりやすい解説

ベンガル語
ベンガルご
Bengali language

インドのウェストベンガル州ならびにバングラデシュに約1億 5000万人の話し手をもつ言語。インド=ヨーロッパ語族のインド語派に属し,ビハール語やオリヤ語とともに中期プラークリット語の一つであるマーガディー語の系統をひくと考えられている。話し言葉の標準語はカルカッタ方言に基づく。書き言葉は語彙も文法も話し言葉との違いが大きい。古くからすぐれた文学をもつ。文字はナーガリー文字の変種。文豪タゴールの言語として有名。

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世界大百科事典(旧版)内のベンガル語の言及

【インド[国]】より

…正式名称=インドBharat∥India面積=328万7263km2(ジャンムー・カシミール(12万1667km2)を含む)人口(1996。ジャンムー・カシミールを含む)=9億5296万人首都=ニュー・デリーNew Delhi(日本との時差=-3.5時間)主要言語=ヒンディー語(公用語),英語(準公用語),テルグ語,アッサム語,マラーティー語,ベンガル語,タミル語など憲法にあげられている17の地方の公用語通貨=ルピーRupee国名はヒンディー語ではバーラトBharatという。インドは北半球に属し,その面積は,ヨーロッパの面積からイギリス,アイルランド,スカンジナビア諸国,ヨーロッパ・ロシアの面積を引いたものにほぼ等しい。…

【バングラデシュ】より

…正式名称=バングラデシュ人民共和国Gaṇa Prajātantrī Bānglādés∥People’s Republic of Bangladesh面積=14万7570km2人口(1996)=1億2306万人首都=ダッカDacca(ダカDhaka.日本との時差=-3時間)主要言語=ベンガル語通貨=タカTakaインド亜大陸の東端に位置する〈水と緑の国〉である。ガンガー(ガンジス),ブラフマプトラ,メグナといった大河川の形成するデルタ地帯に広がるバングラデシュは,雨季にはその国土の大部分が水没する。…

※「ベンガル語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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