ホームドア(読み)ほーむどあ

デジタル大辞泉 「ホームドア」の意味・読み・例文・類語

ホーム‐ドア

《〈和〉platform+doorから》駅のプラットホーム線路の間に設けた壁の一部が開閉する方式の扉。車両の扉と連動して開閉するもので、乗客ホームへの転落事故を防ぐ。可動式ホーム柵スクリーンドア

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ホームドア」の意味・わかりやすい解説

ホームドア
ほーむどあ

乗客の線路への転落や列車との接触による事故などを防ぐため、プラットホームの線路側端に設ける壁や柵(さく)などの仕切り。ホーム柵ともいう。駅内の空調効率を改善し、列車風や騒音を抑える副次的な効果もある。ホームから天井までを完全に仕切りで覆うフルスクリーン型と、1.2メートル前後の高さの柵を使う可動式柵型の、おもに2タイプがある。英語ではplatform screen doorあるいはautomatic platform gateという。列車が到着すると、列車のドア部分と同じ位置についている仕切りのドアや柵の可動部分が自動的に開閉し、乗客が安全に乗り降りできる。日本では1974年(昭和49)に東海道新幹線熱海(あたみ)駅へ導入されたのが初めてとされる。地下鉄や無人運転を行う新交通システムなどでの導入が先行したが、2006年(平成18)の高齢者・障害者等の移動上の安全性などをうたったバリアフリー新法が施行された。

 国土交通省は2011年8月、鉄道各社へホームドアの整備計画を提出するよう要請した。同省は同年8月に、利用者数10万人以上の駅から優先的に整備すべきであるとの中間的考え方をとりまとめた。しかし設置には、1車両当りのドア数やドア位置を統一する必要があるうえ、導入コストがかさみ、ラッシュ時の乗り降りに時間がかかるなどの難点がある。このため東京大学や三菱重工業などが、ドア数やドア位置が異なる車両にも対応できる、新型ホームドアの開発に取り組んでいる。2006年度末に318だったホームドア設置駅数(全国)は2017年度末には725駅となった。海外では韓国中国台湾シンガポールなどが導入しているほか、ヨーロッパ諸国の一部の駅でも設置が始まっている。

[編集部]

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知恵蔵 「ホームドア」の解説

ホームドア

駅のホームから線路に入れないように仕切りを設け、列車ドアと同じ位置に設けたドアを列車ドアと連動して開閉する仕組み。転落事故防止の決め手となり、鉄道会社は、安全確保のための駅員や車掌を減らすことができる。東京メトロ南北線は、天井近くまである仕切りを設け、ホームドアを設置。都営地下鉄三田線などには、高さ1m強のホーム柵とドアを取り付けた可動柵が設けられている。ドアを設けず、電車のドアの位置だけ仕切りがないホーム柵(固定柵)が設置されている駅もある。ただ、ホームが手狭な駅に設置する場合、乗客が滞留し、乗降にかかる時間が長くなる場合もある。過密なダイヤで走る都市部では、ラッシュ時の輸送能力の維持を理由に、導入に消極的な会社も少なくない。

(平栗大地 朝日新聞記者 / 松村北斗 朝日新聞記者 / 2007年)

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