ボールディング(読み)ぼーるでぃんぐ(その他表記)Kenneth Ewart Boulding

デジタル大辞泉 「ボールディング」の意味・読み・例文・類語

ボールディング(Kenneth Ewart Boulding)

[1910~1993]米国経済学者。英国生まれ。経済学を社会システム全体の中でとらえる観点を打ち出した。エコロジー論などにも業績をあげ、また平和運動にも取り組んだ。「宇宙船地球号」の概念を経済学に導入したことでも知られている。著「経済学を超えて」「経済分析」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ボールディング」の意味・わかりやすい解説

ボールディング
ぼーるでぃんぐ
Kenneth Ewart Boulding
(1910―1993)

アメリカの経済学者、社会哲学者。イギリスリバプールに生まれ、オックスフォード大学を卒業。1948年アメリカの市民権を取得。1949年から1967年までミシガン大学教授、1967年からコロラド大学教授。この間、1963~1964年(昭和38~39)には日本の国際基督(キリスト)教大学の客員教授も務めた。

 1941年に刊行された『経済分析』(全2巻)は、構成の斬新(ざんしん)さと説明の明晰(めいせき)さでアメリカの各大学の教科書として未曽有(みぞう)の成功を収め、1966年の改訂版ではケインズ経済学と新古典派経済学との結合を示し、サミュエルソンの『経済学』と並び称される影響力をもった。その後彼は『経済学を超えて』(1968)において、経済学をエコロジカルな存在である地球生物との全体的なシステムのなかでとらえる観点を打ち出し、エコシステム、エコダイナミックスなどの体系的確立に努めてきた。その広範な学際的活動のゆえに「経済学から他領域への全権大使」とも評される。1960年代にアメリカの建築家フラーが著書で提唱した「宇宙船地球号Spaceship Earth」という概念を経済学に導入したことや、「脅迫互酬、愛」の3原理を用いて社会の歴史的発展を解明するシステム論でも知られる。熱烈なクェーカーとして平和運動にも挺身(ていしん)した。

[岸本重陳 2015年10月20日]

『大石泰彦・宇野健吾監訳『微視経済学』上下、『巨視経済学』(1971、1972・丸善、Economic Analysisの訳書)』『公文俊平訳『経済学を超えて』改訳版(1975・学習研究社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ボールディング」の意味・わかりやすい解説

ボールディング
Boulding, Kenneth Ewart

[生]1910.1.18. リバプール
[没]1993.3.18. コロラド,ボールダー
イギリス生れのアメリカの経済学者,社会科学者。オックスフォード,シカゴ,ハーバード各大学で学ぶ。アイオワ州立,マクギルなどの大学で教鞭をとり,49~77年ミシガン大学,77年以降はコロラド大学で教える。 68年アメリカ経済学会会長。以前は正統的な理論家だったが,社会システム理論を取入れてからは「経済学の超克」を目指す。しかし,彼の関心は経済にとどまらず倫理,政治,宗教,エコロジーから文明論にまで展開した。主著『経済政策の原理』 Principles of Economic Policy (1958) ,『20世紀の意味』 Meaning of Twentieth Century (64) ,『経済学を超えて』 Beyond Economics (69) ,『トータル・システム』 The World as a Total System (85) 。

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367日誕生日大事典 「ボールディング」の解説

ボールディング

生年月日:1910年1月18日
アメリカの近代経済学者,未来学や平和研究の開拓者
1993年没

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