アメリカの経済学者、社会哲学者。イギリスのリバプールに生まれ、オックスフォード大学を卒業。1948年アメリカの市民権を取得。1949年から1967年までミシガン大学教授、1967年からコロラド大学教授。この間、1963~1964年(昭和38~39)には日本の国際基督(キリスト)教大学の客員教授も務めた。
1941年に刊行された『経済分析』(全2巻)は、構成の斬新(ざんしん)さと説明の明晰(めいせき)さでアメリカの各大学の教科書として未曽有(みぞう)の成功を収め、1966年の改訂版ではケインズ経済学と新古典派経済学との結合を示し、サミュエルソンの『経済学』と並び称される影響力をもった。その後彼は『経済学を超えて』(1968)において、経済学をエコロジカルな存在である地球と生物との全体的なシステムのなかでとらえる観点を打ち出し、エコシステム、エコダイナミックスなどの体系的確立に努めてきた。その広範な学際的活動のゆえに「経済学から他領域への全権大使」とも評される。1960年代にアメリカの建築家フラーが著書で提唱した「宇宙船地球号Spaceship Earth」という概念を経済学に導入したことや、「脅迫、互酬、愛」の3原理を用いて社会の歴史的発展を解明するシステム論でも知られる。熱烈なクェーカーとして平和運動にも挺身(ていしん)した。
[岸本重陳 2015年10月20日]
『大石泰彦・宇野健吾監訳『微視経済学』上下、『巨視経済学』(1971、1972・丸善、Economic Analysisの訳書)』▽『公文俊平訳『経済学を超えて』改訳版(1975・学習研究社)』
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出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報
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