哺乳(ほにゅう)綱奇蹄(きてい)目ウマ科の動物。同科の1種ウマのうち、小格なものをさす総称名で、品種名ではない。イギリスでは体高1.48メートル以下のものをいう。体質は強健で、筋肉質で引き締まり、頭はやや大きく、耳は小さく立ち、頸(くび)は厚く腹は大きい。背腰はやや長く肢(あし)は細いが、骨は緻密(ちみつ)でじょうぶである。前がみ、たてがみ、尾毛は多く、粗野な感じを受ける。ポニーは他のウマより賢く、ちゃめっ気があり、頑固な点もあるが、情が深く人によくなれ親しむので、イギリスの多くの家庭で家族の一員となり、少年・少女の忠実で安全な乗馬として飼育されてきた。イギリスには多くのポニーがある。イングランドには、エクスムアポニー、ダートムアポニー、ニューフォレストポニー、フェルポニー、デールポニーなどがあり、それらはケルトウマの子孫で、体高1.25メートル以下。とくにダートムアポニーは少年・少女の乗馬として改良されている。ウェールズにはウェルシュマウンテンポニーが生産されている。これはイギリス最古の土産馬で3種に分けられるが、そのうちウェルシュポニーは体高1.35メートル以下で、少年・少女の乗馬として生産されている。ハクニーポニーは、ハクニーを小形にした体高1.25~1.44メートルの軽輓馬(ばんば)で、フェルポニーとウェルシュマウンテンポニーの輓馬型のものを混じて小格化された。スコットランドには、体高1.35~1.45メートルのハイランドポニーと、北方の島の土産馬で体高1メートル程度のシェトランドポニーが生産される。後者は力が強く、少年・少女の乗馬、遊歩用輓馬として世界各地に輸出されている。アイルランドには、コネマラが生産されている。そのほか、ポロポニーとよぶポロ用の乗馬があるが、サラブレッドの血液が多く混じっており、体型もまちまちで、本当のポニーといえないものである。
[加納康彦]
小格馬の総称で,イギリスでは体高148cm以下のものをポニーと規定している。したがって日本の在来馬(木曾馬,北海道和種,対州馬,御崎馬など)はすべてポニーのクラスに入る。子ども用の乗馬や愛玩用に飼われるものが多い。有名なシェトランド・ポニーShetland ponyはイギリスのシェトランド諸島の原産で,古くは炭鉱の坑道で馬車を引くために用いられた。体高90cmぐらいで,毛色は斑毛が多く,中軀(ちゆうく)がやや長いが,整った体型をしており,愛玩用に飼われている。このほかウェルシュ・ポニー,アイリッシュ・ポニー,ダートムーア・ポニー,エクスムーア・ポニーなどがある。世界でいちばん小型のポニーはシェトランド・ポニーを基礎としてアルゼンチンのファラベラ牧場で作出されたファラベラFalabellaで体高は60cmぐらいである。
執筆者:正田 陽一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…現在では北海道和種を除いては数が減少し雑種化が進んでいるので,それぞれの地に保存会が設けられて,その保存と活用が図られている。 品種名ではないが小格馬をポニーと総称する。有名なシェトランド・ポニー(イラスト)は体高約90cmで愛玩用に飼われている。…
…ボールがゴールを通過すると得点となり,サイドが入れかわる。使用馬はポニーと呼ばれるが,種類の制限はなく,特別に教育されたアルゼンチン産のサラブレッド系の馬が多い。危険防止のため,選手はヘルメット,ブーツ,ひざ当てを着用し,馬の下肢には布を巻く。…
※「ポニー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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