シェトランド諸島(読み)シェトランドしょとう(英語表記)Shetland Islands

翻訳|Shetland Islands

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シェトランド諸島」の意味・わかりやすい解説

シェトランド諸島
シェトランドしょとう
Shetland Islands

イギリススコットランドの北岸沖約 200kmにある島群。単一自治体(カウンシルエリア council area)。別称ゼトランド Zetland。行政府所在地ラーウィック。旧シェトランド県。イギリスの北端をなす島群で,南北約 80kmにわたって延びる主島メーンランドを中心に約 100の島からなる。このうち人が住むのは,主島のほか,イェル島,アンスト島,フェトラー島,ブレッセー島,ホールセー島など約 20の島である。全体に樹木が少なく荒涼としているが,沿岸にはボー voeと呼ばれる峡湾が,内陸には氷食湖が発達し,美しい景観を示すところも多い。年間を通して風が強いが,暖流である北大西洋海流の影響で緯度のわりに温暖。早くから人が住み,先史時代の遺跡が多く,主島南部では 7~8世紀のキリスト教布教時に建設されたと考えられる聖堂の遺跡も発掘されている。8~9世紀にノール人が侵入し,その後 15世紀まで島々を支配。1469年スコットランド王ジェームズ3世の妃に迎えられたデンマーク王女マルグレーテの持参金の抵当とされたのち,1472年に抵当流れのかたちでスコットランド領となった。しかし,本土から遠く離れていたため,その後も長くノール人の習俗が保たれ,今日まで続いているものもある。概して土地がやせているため農耕に適さず,わずかな可耕地はクロフターと呼ばれる零細小作農によって耕作されるが,クロフターは耕作と並行して共有の放牧地で牧羊を行なう。羊毛農民の主要収入源となっており,その羊毛を原料とした毛糸や編み物,織物は「シェトランド」の名で知られる。ニシンタラなどの漁業も重要。また北海油田で働く人々の保養地となっており,関連施設も多い。小型のウマシェトランド・ポニー,小型の使役犬シェトランド・シープドッグの原産地。面積 1468km2。人口 2万1880(2006推計)。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シェトランド諸島」の意味・わかりやすい解説

シェトランド諸島
しぇとらんどしょとう
Shetland Islands

イギリス、スコットランド北端、オークニー諸島の北東約80キロメートルに位置するイギリス最北端の諸島。スコットランドの一県をなす。ゼトランドZetlandともいう。大小100余の島からなるが、大半は不毛で、居住地となるのは21島にすぎない。メーンランド、イエル、アンストなどが大きな島で、総面積1466平方キロメートル、人口2万1988(2001)。中心都市はメーンランド島のラーウィク。ニシン、タラ、マスなどの漁業、牧羊などが行われてきた。8、9世紀~15世紀にノルウェー領であったので、スカンジナビア系の遺跡や風習が残っている。1472年にスコットランド領となった。島の大部分は北緯60度以北にあり、夏季には白夜が楽しめるので観光地となっている。また、北海油田最北部のマグナス、ブレンド両油田からの原油パイプラインが島中央部のフォーイまで延び、油田開発の前進基地ともなっている。

[小池一之]

『藪内芳彦著『島――その社会地理』(1972・朝倉書店)』

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