出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
イギリス,スコットランド北東沖の北緯60°付近にある諸島。古ノルウェー語で〈突き出た土地〉を意味し,1974年まで公式にはゼトランドZetlandと呼ばれた。南北約150kmの細長い群島をなし,主島メーンランド島のほか,イェル,アンスト,フェトラーなど約100の島々から構成されるが,その80%以上が無人島で,総面積1427km2,人口2万2000(2006)。地形は全般に丘陵性で,最高点のロナス・ヒルでも450mである。気候が冷涼で荒涼たる泥炭地が卓越するため,主産業はクロフト(小作)制度による牧羊で,〈シェトランド〉や〈フェア・アイル〉と呼ばれる毛糸編み製品が名高い。このほかオート麦・大麦の栽培や牛,シェトランド小馬の放牧もみられる。かつてのニシン漁や捕鯨の基地で,現在はタラ漁が盛んである。夏の観光業も重要で,また北海のブレント油田などからのパイプラインがメーンランド島のサロム湾まで通じ,原油基地となっている。
定住の歴史は古く,ストーン・サークル(環状列石)やピクト人の円塔要塞が残るが,8世紀ごろにノルウェー人が植民,今も住民や言語,慣習にスカンジナビアの影響をとどめる。1472年スコットランドのジェームズ3世と結婚したデンマーク王女マルグレーテの持参金としてスコットランド領となった。現在,イギリス最北端のシェトランド州をなし,メーンランド島中部の州都ラーウィックLerwickが商業・漁業の中心である。
執筆者:長谷川 孝治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
イギリス、スコットランド北端、オークニー諸島の北東約80キロメートルに位置するイギリス最北端の諸島。スコットランドの一県をなす。ゼトランドZetlandともいう。大小100余の島からなるが、大半は不毛で、居住地となるのは21島にすぎない。メーンランド、イエル、アンストなどが大きな島で、総面積1466平方キロメートル、人口2万1988(2001)。中心都市はメーンランド島のラーウィク。ニシン、タラ、マスなどの漁業、牧羊などが行われてきた。8、9世紀~15世紀にノルウェー領であったので、スカンジナビア系の遺跡や風習が残っている。1472年にスコットランド領となった。島の大部分は北緯60度以北にあり、夏季には白夜が楽しめるので観光地となっている。また、北海油田最北部のマグナス、ブレンド両油田からの原油パイプラインが島中央部のフォーイまで延び、油田開発の前進基地ともなっている。
[小池一之]
『藪内芳彦著『島――その社会地理』(1972・朝倉書店)』
…こうした自然のため不毛地が広く,粗放的牧羊とエンバクの栽培がみられるにすぎない。またヘブリディーズ諸島など周辺島嶼も漁業と牧羊を中心とする過疎地域であったが,北海油田の開発に伴ってシェトランド諸島,オークニー諸島には原油基地が建設され,地域開発が推進されている。(2)中部 南北を断層線で画された低地帯で,スコットランドの政治・経済の中心地をなす。…
※「シェトランド諸島」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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