日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポリイソプレン」の意味・わかりやすい解説
ポリイソプレン
ぽりいそぷれん
polyisoprene
イソプレンCH2=C(CH3)CH=CH2の重合体(ポリマー)の総称。シス‐1・4結合とトランス‐1・4結合したポリマーが主体である。そのほかに1・2結合と3・4結合のポリマーがある。
天然ゴムはヘビアブラジリエンシスHeveabrasiliensisというゴムノキの分泌物からつくられるが、シス‐1・4‐ポリイソプレンが主成分であり、バラタBalataやグッタGuttaの樹の分泌物から得られた、グッタペルカというゴムはトランス‐1・4‐ポリイソプレンを主成分としている。このシスとトランスの相違はその物性にも影響している。天然ゴムは非常に大きな、いわゆるゴム弾性をもっているが、ガッタパーチャはもっていない。シスとトランスの1・4‐ポリイソプレンを化学的に合成することも成功している。ツィーグラー型触媒またはアルキルリチウムを用いる溶液重合でシス型が、カチオン重合でトランス型のものが合成される。
[垣内 弘]